本当は怖いギャンブルの仕組み 良識だけでギャンブルは根絶できない

日本では、カジノ解禁の法整備が着々と進められている。

良識ある国民にとってギャンブルは忌み嫌うものであるし、格好つけたい人にとっては自慢のトークネタとなる。

しかしどちらの側にも共通する点がある。それは、ギャンブルの仕組みを知らないという点である。

良識に基づいて他人を説得しても、ギャンブル経験者の心には刺さらない。「知らないくせにつべこべ言うな」「共感できないのに偉そうなことを言うな」という感情が働くだけである。

逆にギャンブル自慢を聞いても、良識派がギャンブルに手を出すこともない。馬鹿げたことで自分を傷つけたくないからである。

では両者の「分断」を仲裁できる存在はいるのかというと、いない。当たり前のことだが、落とし所が不明だからだ。そこで、棲み分けをするしかない。

ギャンブルで確実に儲かる人々

ところが、世の中、良識派の感覚を持ちながらギャンブルに詳しい連中がいる。ギャンブルの胴元と、プロのギャンブラーである。

彼らは、ギャンブルを利用して生計を立てている。それも、水と油を仲裁するのではなく、水、油、それぞれからおいしいところをくすね取ろうという発想で生きている。

なぜギャンブルで生計を立てられる人々が存在するのか?それは「アービトラージ(裁定取引)」という、リスクなしでリターンが得られるおいしい部分があるからだ。

スポーツ賭博におけるギャンブルの仕組み

もう少し詳しく話をしていこう。国内では禁止だが、海外ではスポーツ賭博が行われている(だからこそ日本よりスポーツが盛り上がる)。

サッカーチームAとサッカーチームBが試合をして、どちらが勝つかを賭ける。Cというブックメーカー業者(欧米における賭け屋・胴元)が、2ドルでチケットを販売しているとしよう。

AとBの2種類のチケットがあるが、Aを買ったときにAが勝ったら7.6ドル、Bを買ったときにBが勝ったら2.5ドルのバックが得られるとしよう。

また、Dというブックメーカー業者は、チケットを同じく2ドルで販売しているのだが、Aが勝ったら4.8ドル、Bが勝ったら3.2ドルのバックが得られるとしよう。

Cの考えとしては、A-BはAがBに4回に1回しか勝てないだろう、だから、4人に1人はAのチケットを、残り3人はBを買うだろう、ということである。

もしそうならば、4人のお客さんは皆2ドルずつ払う。8ドルは預かることになる。

しかし、Aが勝てば7.6ドル一人分返却し、残り0.4ドルが差額分で店の儲け分になる。Bが勝っても、2.5ドル×3人なのでトータル7.5ドルの返却と、大して変わらない。

どっちに転んでもブックメーカー業者は儲かるように仕組まれている。

Dの場合は、5回に2回、という読み以外は、大まかには同じである。胴元のアービトラージとは、こういうことである。

では、プロギャンブラーは何を考えるか?

実は、2ドルあったら、Cのブックメーカー経由でAに0.59ドルを賭け、D経由でBに1.41ドルを賭けるのだ。

仮に、Aが勝てば、0.59ドル分のAのリターンは、7.6ドル×0.59/2となり、2.242ドルが回収できる。

Bは全額ドブに捨てたことになるが、差額の0.242ドルが丸儲けとなる。

また、Bが勝った場合、今度はBのリターンのみになるが、3.2ドル×1.41/2となり、2.256ドルの回収となる。差額で0.256ドル儲け、と、儲け額は大して変わらない。

これは、何を根拠に計算しているかというと、CはDよりもAの儲けが大きく、逆にDはCよりもBが大きいなら、より大きいほうにお金をかけたほうがお金を回収できるのでは、という考えである。

そして、どっちが勝ってもなるべく同じ回収額になれば、安全だという発想である。この考えで行くならば、ノーリスクでリターンが得られるのである。

しかし、みんながみんなこれをやったら、ブックメーカーは倒産してしまう。これは、一般ギャンブラーのたくさんの屍の上に成り立っている成功の方程式、と言って良い。たくさんのカモがなければ、胴元もプロギャンブラーも存在できない。

全てのギャンブルが同じ仕組み

ギャンブルのからくりを知ったら、それがいかに恐ろしいものであるか分かるだろう。

今回は例としてスポーツ賭博の仕組みを解説したが、このシステムの延長上に、カジノ、パチンコ、競馬などがギャンブルとして成り立っている。

パチンコがなぜいけないのか、競馬がなぜいけないのか、論理的に説明できなければ、いくら身近な人をその世界から抜け出させたいと思ってもできないし、むしろ逆効果となる。

かといって知らん顔をするのは、人間としてちょっと嫌味でもある。情緒以外の面からも、ギャンブル教育について普及させられたらと思っている。

尚、私の専門はパチンコなので、パチンコの詳しい仕組みについて知りたい方は、次回の投稿を期待していただきたい。陰謀論止まりのパチンコ批判では、永遠にパチンコ廃絶運動も進展しないであろう。

高部義則/パチンコ廃絶運動関係者。パチンコを中心としたギャンブルの世界に深入りし、その闇を知って、ギャンブル廃絶運動を決意するに至る。パチンコについては、釘師や店員、メーカーよりも恐ろしさを熟知している。

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