AWSの大規模障害に見るIT社会のリスク それでもIT依存は止まらない

令和元年8月23日、IT大手Amazonが運営するウェブサービス「AWS」が6時間以上にわたって障害を起こし、日本国内の様々なITサービスに悪影響を及ぼした。

サービス一時停止などの影響を受けたのはウェブサイト、カスタマーセンター、スマートフォンアプリ、ネット通販、チャットシステム、SNSなど多岐にわたる。

障害が起きた時間帯が昼過ぎから夕方までだったこともあり、仕事や買い物に支障をきたしたユーザーも多くいたと見られる。特に決済サービスや通販サービス関連では甚大な金銭的損失(機会損失)をこうむった可能性が高い。

AWSクラウドとは

クラウドサービスとは簡単に言えばサーバーの貸し出しサービスである。ウェブサイトだけでなく、ソフトウエアを稼働させたりファイルを保存したりするために稼働するコンピューター領域を、専門の会社が顧客(主に企業)に貸し出す。

クラウドサービスが主流になる前は、多くの企業は自社オフィス内にサーバーを設置していた。サーバーは原則として24時間365日稼働し続けるコンピューターであり、維持管理にそれなりのコストがかかる。

また、もし自社サーバーを毀損するようなトラブル(火災・水害・人的破壊など)が発生した場合、重要なデータが消失し、業務に支障をきたすことになる。

そこで多くの企業は、まず外部のサーバーに常時バックアップを取るようになり、やがて丸ごと外部サーバーを利用して自社業務を遂行するようになった。これがクラウドサービスだ。

このようなクラウドサービスが主流になった要因として、光ファイバーなどによる高速通信網の発達が挙げられる。大容量データのやり取りを、瞬時に行えるようになったため、社外のサーバーを利用しても円滑に業務を行える。

クラウドサービスを提供する企業も増えたが、中でもAmazonのAWSは世界シェアが1位の33%で、現在もっとも信頼性が高いクラウド提供会社と言える。

大規模障害の原因

今回のAWS大規模障害の原因はサーバー冷却システムの故障だった。サーバーは稼働し続けるコンピューターであり、放っておけば高熱を発してオーバーヒートする。従って、空調などによって冷やし続けなければならない。

これは自社サーバーや個人用のパソコンも同じだ。あるいは気温の高い場所でスマートフォンを使っていて端末が熱くなり、機能停止した経験のあるユーザーも多いと思うが、同じ現象である。

AWSは最も信頼性の高いクラウドサービスだが、大規模障害は初めてではないし、今後絶対に起きないということも言えない。

IT依存度の高まる社会でのリスク管理を

ネット通販のシェア拡大や電子決済の普及に伴い、私たちの社会におけるITインフラはその重要度を増している。この傾向は今後ますます加速度的に強まることは間違いない。

AWS障害のインパクトが大きかったのは、最も信頼性が高いゆえに多くの大手企業が安全策をとってAWSを利用していたためだ。

しかしAWS障害で被害を受けたからと言って、自社サーバーに戻すことが自社の安全性を高めるとは言えない。

今回はクラウドサービスの障害だったが、IT社会は他にも様々な潜在的リスクを抱えている。大規模停電や自然災害、ハッキング、戦争などによってITインフラは簡単に機能停止に陥る。

それがわかっていても、ITのもたらす利便性ゆえに、人類社会はIT依存度を引き下げることはできないだろう。

大手IT企業やクラウドサービス提供会社はシステム停止を防ぐために投資を続けるだろうが、残念ながらリスクをゼロにすることは不可能だし、全ての損害を補償してくれることはない。

ITサービスの不慮の「全停止」は、大規模自然災害同様に想定すべきリスクとして、文明社会が引き受けるべき時代に入ったと考えるべきだろう。

本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。

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