平成30年8月9日、福岡市民のグループ約10名が名島海岸(福岡市東区)に漂着しているゴミを拾うなどして清掃活動を行った。
今回、清掃活動を呼びかけたのは学習塾を経営する筒井克彦氏。筒井氏は地元福岡の偉人を顕彰するイベント開催などの活動を通して、今回の清掃に思い至ったと言う。
というのも、名島海岸には国指定天然記念物「名島檣(帆柱)石」という木の化石が存在し、しかもこれが神功皇后ゆかりの史跡というのだ。
いまから遡ること約1800年前、神功皇后は夫の仲哀天皇とともに九州の熊襲を征伐するため、香椎宮(福岡県)に入る。その時、天皇皇后に対し「新羅を討伐せよ」と神託が下る。
しかし仲哀天皇はこれを信じなかったためか、神罰により崩御。残された神功皇后は神示を全うするため、熊襲征伐ののちに朝鮮半島を攻める。これが「三韓征伐」である。そして新羅・高句麗・百済が降伏し、日本に朝貢することとなった。
その時、日本に凱旋した軍船の帆柱が残され化石化したのが、「名島檣(帆柱)石」というわけだ。しかしこの史跡は福岡市民にも殆ど知られておらず、観光客がやってくることも滅多にないという。
今回の清掃活動を呼びかけた筒井氏は、「単なる歴史の勉強会だけでなく、身体を動かして郷土の歴史に愛着を持てるような活動を広げていきたい」と語った。
また、海岸沿いに設置されている史跡説明板が劣化していることを受け、清掃活動にも参加した冨永正博市議(福岡市東区)は直ちに東区役所に申し入れを行い、年度内に改修するという回答を得た。
清掃活動に参加した市民からは、「身近にこんな凄い史跡があることを知らなかった。福岡市民としてもっと大切にしていきたい」などと声が上がった。
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