長岡市議会「発言の最後は質問形式」議員の発言権を不当に制限

新潟県長岡市議会が議員の発言権を不当に制限するルールを設けたことがわかった。筆者は、長岡市議会に情報公開請求をおこない、新ルールが決定された議会運営委員会(以下「議運」)の会議録を入手。関係者にも取材をおこない、新ルールの検証をおこなった。

議運で無所属議員の反対を押し切り強行決定

長岡市議会では従前から「一般質問に関する申し合わせ」という一般質問に関するルールがある。当該ルールでは、質問方式や質問時間・回数、通告期限などが定められている。

2月25日開催の議運では、当該ルールに「一般質問は、要望や意見の表明で終えず、その発言の最後は質問形式で終わることとする。なお、本号の規定は、当該一般質問に係る最小の項目ごとに適用されるものとする。」という規定を追加することが提案された。

いずれも無所属の桑原望議員、諏佐武史議員、関貴志議員(冒頭写真)は議運の許可を得た上で、委員外議員として反対する発言をおこなったが、市議会5会派から選出された委員によって新ルールの決定が強行された。

議員の発言を不当に制限にする事項が追加される(長岡市議会「一般質問に関する申し合わせ」より)

これにより3月定例会から各項目の最後に「納得できないですが、時間がないので」「認識が甘いと指摘して」と言って次の質問に移ること、あるいは方向性について「それでよいと思います」「速やかに進めてください」「同じ考えですので、推し進めてください」と意見を述べてから次の質問に移ることができなくなったのである。

議員が質問し、答弁を受けて、それについて自己の意見・感想を述べて、次の質問に移るということは、わが国では、国会を含め、全国の議会で普通におこなわれていることである。

桑原議員は「このようなルールを設けている議会は聞いたことがない。あるなら教えてほしい」とSNSで述べている。地方議会に詳しい学識経験者も「このようなルールは聞いたことがない」としている。一方で議会事務局長は、他の地方議会の事例は調査していないと答弁している。

新ルールは議員の発言権は不当に制限するものである

なぜ、長岡市議会だけが、このような「独自ルール」を設ける必要があるのか。

丸山広司議長は、「一般『質問』である以上は、質問して答弁をもらうことが原則」だからと説明するが、正直意味がわからない。答弁に対して意見などを述べて次の質問に移っても何ら問題はないではないか。

また丸山議長は、「最後に自分の感想や意見で終わると、行政側はそれに対して答えるすべがない」からだともいう。公明党会派代表の藤井達徳議員(議運委員)も「意見で終われば行政側に反問権がない中で議員に都合のいいように印象操作されるおそれがある」と指摘する。

しかしながら、逆に答弁を受けて、議員が意見を述べることができずに、次の質問に移ると議員が行政側の答弁に納得していないにも関わらず、市民は納得したと誤解してしまう恐れがある。そもそも答弁を受けて、何も言わずに次の質問に移るというのは、聞いていて違和感がある。

また、質問した議員が行政側の答弁を聞いて、どのように受け止めたのか、主権者たる市民は知る権利があるといえる。議員の資質や市政についての重要な判断材料となりえるからである。

つまり、各項目最後の質問に対する答弁に議員が意見などを述べることができないということは、議員の発言権を不当に制限するだけにとどまらず、市民の知る権利を侵すことになるわけである。

藤井議員の「印象操作になる」から新ルールの必要性があるという意見は、行政側に忖度するものである。市議会は議決機関として市長をトップとする市役所に対して監視機能を発揮しなければならないが、議員の発言権を制限することは、監視機能を自ら低下させるものである。

地方議会は、いやしくも「言論の府」である。議会側があえて、自縄自縛(じじょうじばく)のルールを設ける必要性はまったくない。関貴志議員は、新ルールが民主的な議論を尽くすことや行政の事務執行を監視することが議会の責務であるといった議会基本条例の規定に違反すると指摘している。

新ルールが策定されて喜んだのは答弁する行政側である。「新ルールは行政側と結託した与党会派の嫌がらせ」だと指摘する議会関係者すらいる。議員の発言権を不当に制限する長岡市議会は、はたして「言論の府」といえるのだろうか。

桑原望議員のコメント:今回の改正は、反対した無所属議員だけでなく、会派に所属する議員にとっても、大きな制約になる可能性がある。今後、大きな問題がある市政運営がおこなわれた場合や議会と対立する市長が誕生した場合など、質問の最後に意見が言えない新ルールでは、議会の監視機能が十分に果たせなくなる。このことを各会派の議員は、想像できなかったのが残念である。

諏佐武史議員のコメント:長岡市議会では、昨年9月定例会において一般質問が不許可になったという例も含めて考えると、行政サイドに過剰な忖度をしているように感じられる。二元代表制・機関対立主義の原点に立ち返り、本来の議会の役割を考え直す必要がある。

関貴志議員のコメント:地方自治における二元代表制は、議会側は質問権を有し、行政側は説明責任を負っているのであるから、議員が印象操作をしたとしても、聞いている有権者が「行政の言い分が妥当」と判断するような答弁をしなくてはならない。また、条例や規則に定めるならば賛成多数を持って成立するが、申し合わせは関係者全員の合意をもって成り立たせるものである。

芦田祐介(あしだ・ゆうすけ) 昭和58年生まれ。京都府久御山町議会議員(1期目)。平成23年行政書士試験合格。平成31年4月初当選。


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