ピースボート被害者の会、返金トラブル「第三者委設置を」

「地球一周の船旅100万円」と書かれたポスター。居酒屋などで見かけたことがある方も多いのではないかと思う。

これはNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスが主催する地球一周クルーズを募集するポスターだ。実は私も参加経験がある(2015年に地球一周クルーズに参加、2017年に台湾・宮古島方面のショートクルーズに参加)。

私は昨年(過去記事参照)に引き続き、「ピースボートの8月出港クルーズ中止を求める会」を設立し、同時に「ピースボート被害者の会」も設立した。

そして日本政府や各省庁に対して「ピースボートの2021年8月出港クルーズ中止を求める声明」、および「ピースボート返金トラブル第三者委員会設立を求める緊急声明」という二つの声明文を提出するに至った。これらの内容は以下の通りである。

ピースボートの2021年8月出港クルーズ中止を求める緊急声明

首相官邸・外務省・法務省 宛て
令和3年4月23日
ピースボートの8月出港クルーズ中止を求める会

私たちは、ピースボートクルーズ参加者(過去乗船者、スタッフ経験者、返金トラブル被害者など)によって組織された会です。

2021年現在、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック状況を受けて、日本政府および各自治体は、緊急事態宣言、外出自粛要請、飲食店の時間短縮営業など、数多くの対策を打ち出しています。

しかし現時点において、NGOピースボート・株式会社ジャパングレイスが主催する「ピースボート地球一周の船旅 2021年8月 Voyage108」(2021年8月20日出港)は、調整を挟みつつも実施の方向で動いています。これは現在の世界情勢に鑑みても、日本社会の動向と照らし合わせても逆行するものであり、適切な対応とは考えられません。

日本社会において新型コロナウィルス感染症の知名度が高まったのは、昨年2月に横浜に寄港したイギリス船籍のクルーズ船・ダイアモンドプリンセスにおける集団感染に端を発しています。

この記憶が冷めやらぬ中でのクルーズ実施は、乗客・スタッフの親族や友人、各寄港地の運転手や通訳、ホテルスタッフ、ならびに現地住民の方などからの不安や反発を招くことに繋がりかねません。

また世界で新型コロナウィルスの感染者数が1億人を超え、死亡者が300万人を超えた中、客船からの観光客らが大挙して寄港地に押し寄せることは、不適切と言わざるを得ません。

万が一、クルーズ実施中に船内での感染者の発生・拡大(クラスター)や、クルーズを媒介とした船から寄港地、寄港地から寄港地への感染拡大(オーバーシュート)が発生した場合、NGOピースボート・株式会社ジャパングレイスのみならず、日本という国そのものへのイメージダウンに繋がりかねません。

またNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスを巡っては、2020年4月の時点で返金トラブルが発生しており(注1)、同年4月21日に観光庁が約款通りに支払うよう行政指導を行っています。2021年8月出港クルーズの敢行は、この行政指導に反するものであります。

尚且つNGOピースボートの公式ホームページには、「ピースボート地球一周の船旅 Voyage108」をはじめとする各クルーズ(中止済みの2020年12月・2021年4月出港クルーズも含む)の確認事項に、「上記のような不可抗力による変更の場合でも、払い戻しは一切ございませんので、あらかじめご了承ください。」と明記されています(注2)。これは行政指導を黙殺する行為であり、看過できるものではありません。

2020年12月出港クルーズの中止が発表されたのは、9月下旬になってからと遅きに失したものでした。あるいはNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスは、応募者からの入金を返金に充てる目的で、確信犯的にクルーズの中止発表を引き延ばし、小出しにしている可能性もあります。これは倫理的に逸脱した行為に他なりません

従って、私たちは「ピースボート地球一周の船旅 2021年8月 Voyage108」の即刻中止(あるいは無期限延長)を求め、政府にはNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスに対する出港差し止め命令の発令を要請するものであります。

これは乗客・スタッフらの生命と安全を確保し、各寄港地の混乱を避けるためのものであり、ひいては諸外国から日本への好感度の低下を未然に防ぐことを目的としています。

以上、政府および国会に対して検討を求めます。

(注1)下記参照
▽ピースボート、中止分の返金滞る 1500人超、観光庁が行政指導(共同通信)
news.yahoo.co.jp
▽「ピースボート」の返金遅れ多発 世界一周クルーズ中止(朝日新聞)
www.asahi.com

(注2)下記参照
▽ピースボートショートクルーズ 2021年8月(ピースボート公式)
www.pbcruise.jp

ピースボート返金トラブル第三者委員会設立を求める緊急声明

首相官邸・外務省・法務省 宛て
令和3年4月22日
ピースボート被害者の会

私たちは、ピースボートクルーズ参加者および被害者(過去乗船者、スタッフ経験者、返金トラブル被害者など)によって組織された会です。

2021年現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック状況を受けて、経営難に瀕する団体が増加しています。

地球一周クルーズなどを実施しているNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスにおいても、2020年4月の時点で返金トラブルが発生しており、同年4月21日に観光庁が約款通りに支払うよう行政指導を行っています。

この返金トラブルの概要は、株式会社ジャパングレイスが提案した3年間の36分割に対し、顧客が反発したというものです(注1)。

また同社は一部の顧客に全額返金を執り行いながら、別の顧客には「36分割しかできない。一括返金を受けた顧客は一人もいない」と虚偽の説明を行っているなどの問題も発覚しました(注2)。これらの問題は行政指導を無視した重大な背信行為に他なりません。

尚且つ株式会社ジャパングレイスと提携して地球一周クルーズを実施しているNGOピースボートは「ピースボート災害支援センター」において、福島沖地震、ベトナム洪水被害など様々な基金を行っています。

経営難にある団体が基金を募る余裕があるとは考えにくく、仮に基金の名目で募った資金を自団体の存続のために流用していた場合、法律上ならびに倫理上、到底看過できるものではありません。

こうした一連の問題は当事者間の問題に留まらず、日本の旅行業界史に残る汚点と言えるものです。またコロナショックに揺れる日本社会全体の悪しき前例になり、社会全体に悪影響を及ぼすものでもあります。

換言すれば、株式会社ジャパングレイス・NGOピースボートを巡る一連の問題は、社会全体で情報共有を執り行い、問題解決に向けて取り組み、繰り返してはならない過ちとして教訓とすべき事案であります。

従って私たちは、返金トラブルの解決を求め、政府にNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスに対する第三者委員会設立の設立を要請するものであります。

これはNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスの経営・運営を正常化し、日本の旅行業界全体への教訓を提示することを目的としています。

以上、政府および国会に対して検討を求めます。

(注1)下記参照
▽一括返金はできない…世界一周クルーズのピースボート、開き直り?(プレジデント)
news.livedoor.com
▽ピースボート、中止分の返金滞る 1500人超、観光庁が行政指導(共同通信)
news.yahoo.co.jp

(注2)下記参照
▽【ピースボート】世界一周クルーズ中止で「3年かけて返金」トラブル相次ぐ(選報日本)
www.sejp.net

なぜピースボートは不誠実なのか?

まず現在の世界情勢を鑑みて、地球一周クルーズを実施する訳にはいかないのは火を見るよりも明らかだ。

また国内に目を向けると、日本ではワクチン接種もそれほど進んでおらず、ワクチン慎重論も根強い。昨年も私たちが声明を発表したあとに2020年の8月出港クルーズは中止になったが、今年も実現することだろう。

より重要案件なのが、二つ目の「ピースボート返金トラブル第三者委員会設立を求める緊急声明」だ。繰り返しになるが、株式会社ジャパングレイスを巡っては、昨年から返金トラブルが大きな問題となっている。

返金トラブルが発生したこと自体が、もちろん大問題だ。だがもっと問題なのは、運営が顧客に対して虚偽の説明を行ったり、顧客ごとに異なる説明を行ったり、公式ホームページに返金トラブルについての記載や謝罪がないといった不誠実な運営である。

今回の返金トラブルは決して当事者間の問題に留まるものではない。日本の旅行業界の悪しき前例となるものである。

もし他の旅行団体が「ジャパングレイスだって返金していないし」と開き直り、別の新たな返金トラブルが発生したらどうするつもりなのか。旅行業界だけでなく、他の業種にも同じことが言える。

つまりピースボートの返金トラブルは、コロナショックに揺れる日本社会全体に悪影響を与える重大な「事件」なのだ。一連の不誠実な流れは社会通念上、決して許されるものではない。

こうした不誠実な流れがまかり通るのは、ピースボートがある意味で非常に閉鎖的な集団だからであろう。著述家の古谷経衡氏は、その著書『日本を蝕む「極論」の正体』(新潮新書)でこう喝破している。

そもそも極論はどのように発生するのだろうか。ごく簡単に言えば、競争のない、閉鎖的な集団や組織から極論は常に発生する。外部から見えづらい、つまり第三者から監視・審査されない「内向き」の組織や団体の中での物言いは、次第に極論になり沸騰してくるが、その内部にいる人間たちには正論として信じられてしまう。
一旦、この内向きの組織に取り込まれた人々は、もともと常識人であってもその強烈な同調圧力の中で次第に極論を正論と思い込むようになる。これが極論発生のメカニズムである。(p.9)

私もまったく同感である。NGOピースボート・株式会社ジャパングレイスのスタッフが居丈高な態度を取っているだけでなく、返金トラブルが発生してもピースボートを擁護する過去乗船者が多数見受けられる。

もしコロナショックが2020年でなく、自分たちがクルーズに参加した年に発生していたら自身も返金トラブルの被害に遭っていただろうに、よくピースボートの肩を持てるものである。

このままでは埒が明かない。第三者委員会の設立は問題解決と運営の正常化に必須である。私は声明を日本政府に提出したが、これから署名を行い第三者委員会の設立に向けて更に行動していきたい。

コロナ騒動に揺れる日本社会にて、こうした声をあげた会があったことを皆さんにぜひ知って頂きたい。そして賛同して頂ける方は、この記事のシェアなどして頂けると幸いである。

最後になるが、私はNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスの誠意ある反省と抜本的な改善を望んでいる。

矢野哲郎(やの・てつろう)/平成3年、福岡県行橋市に生まれる。下関市立大学経済学部卒。大学卒業後は塾講師の仕事を行い、国語・数学・英語などの科目を担当。放課後などの時間帯を利用して学習指導を行う「子どもひまわり学習塾」の指導員として4校の小学校を担当。NGOピースボートが主催する地球一周クルーズに参加し、人種差別に関する企画やブラインドサッカーなど多様な自主企画を実施。

『僕がぼくであるために ピースボートで大東亜戦争のことを考えた』
出版社:花乱社 (2018/6/28)
内容紹介:
自分のスタイルを確立せよ!
色んなことを語ろう,学ぼう,世界を旅しよう。
ブラインドサッカー,尾崎豊・裕哉父子,ピースボートで出会った仲間たち,そして世界で初めて人種差別撤廃を訴えた祖国・日本から僕が学んだ人生のヒントとは?

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