OBからの最終勧告「ピースボートは来年3月までの出港予定を全て中止せよ」

前回記事で書いた通り、NGOピースボート・株式会社ジャパングレイスが実施予定だった「第104回ピースボート 地球一周の船旅」(2020年4月出港予定)は既に中止済みである。

また私たちが「ピースボートの8月出港クルーズ中止を求める会」を設立し、中止を求めた「第105回ピースボート 地球一周の船旅」(今年8月~12月実施予定)も6月になって中止が発表された。

中止発表の流れは、まず105回クルーズ参加予定者にメールが送られ、数日後にNGOピースボートのホームページで中止の案内が出されるというものだった。

ややちぐはぐな印象も受ける。しかし105回クルーズが実施されていれば、NGOピースボートのみならず日本という国そのものの印象も下がっていたので、中止発表は正解だった。断っておくと、中止は世界情勢を見れば当然のことであり、中止したから偉いとかすごいと言うことではない。むしろ6月になってからの発表は遅きに失したとすら言えるだろう。

ただし正式な中止発表の前に「ピースボートの8月出港クルーズ中止を求める会」が設立され、日本政府に声明文が提出されたことには意味があった。正式発表の前に声が出たという事実は(例えそれが既成事実だったとしても)、今後の話し合いやプレスリリースにおいて有利な材料となる。勇気を出して私に協力してくれたメンバーに感謝したい。

しかしピースボートは、

「なお、12月以降に出港の世界一周クルーズにつきましては、安全・衛生対策に万全を期し、スケジュール通りの催行を予定しております」

としている(NGOピースボートのホームページより抜粋)。

第106回クルーズ(今年12月出航予定)や第3回プレミアムクルーズ(同じく今年12月出港予定)、第107回クルーズ(2021年4月出航予定)、においても、コロナ騒動のあおりを受けてキャンセルする客が発生しているにも関わらず、である。果たしてそれは正しい判断だろうか?

日本政府「国際ルールを来年3月に提起する」

私としては、来年の3月までは絶対にクルーズを実施してはならないと考える(来年3月を迎えたらすぐに再開していいという訳ではない)。それは日本政府が客船における感染対応について、国際ルールを来年3月に提起しようとしているからだ。

まず日本において新型コロナウイルスの知名度が高まったのは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」において集団感染が発生したことが大きな要因である。

この集団感染をめぐっては、「船籍登録国であるイギリスと寄港を認めた日本のどちらに対応の責任があるのか判然としない」という国際法上の不備が露呈した。結果として対応が遅れてしまい、感染者の拡大や犠牲者の発生を招いてしまったのは痛ましい出来事だった。

そもそも複数の国を巡るクルーズ船では、コストの安い外国人船員を雇う場合がほとんどだ。そのため旅行会社の国籍が日本であっても、クルーズ船の船籍は税金の安いパナマやリベリアになることが多い。

例えばNGOピースボートや株式会社ジャパングレイスは、日本のNGOあるいは株式会社である。しかし私が乗船したオーシャンドリーム号はパナマ船籍であり、今年からプレミアムクルーズにて運用予定だったゼニス号はマルタ船籍となっている(いずれも運航会社はアメリカのシーホーク・コーポレーション・リミテッドインク)。

またクルーズ中にレストランやハウスキーパーの仕事をしてくれる船員は、フィリピンやベトナム、トルコやブルガリアなどやはり多国籍に及んでいる。

この様に国際クルーズとは、複数の国の団体やスタッフが複雑に絡み合って実施されている。それにも関わらず、「どの国が検疫や感染拡大防止の責任を負うかについて、国際的な取り決めがない」というのは、恐ろしい事実である。

「もし国際社会で通じるルールが存在していたなら…」と思わずにいられない。しかし済んだことを言っても仕方がない。大切なのは、これからどうするかである。

日本政府は、クルーズ船で感染症が発生した場合の責任を明確化するため、調査・研究を開始する。先述した通り、来年3月までに報告書をまとめ、国際機関などに新たなルール作りを提起するためだ。

コロナ騒動が収束したあと、人々が安心してクルーズ旅行に参加するためには、国際ルールは必須だ。報告書の提出が来年3月であるから、ルール締結は当然それよりも後のことである。

従って国際ルールが締結されるまでは、ピースボートにしてもその他の団体にしても、絶対に国際クルーズは出港してはならない。コロナ騒動に大きく揺れる国際社会において日本が提言を行うことは、大きな意義がある。それに水を差すなど言語道断だ。

従って私は、第106回クルーズと第3回プレミアムクルーズ、第107回クルーズの中止も求める。百歩譲って来年4月出港予定の107クルーズはともかく、今年12月出港予定の106クルーズと3回プレミアムクルーズの中止は絶対だ。

今後は上記クルーズの中止要請とともに、前回記事で書いた返金トラブルについての続報などもプレスリリースを進めていきたい。

矢野哲郎(やの・てつろう)/平成3年、福岡県行橋市に生まれる。下関市立大学経済学部卒。大学卒業後は塾講師の仕事を行い、国語・数学・英語などの科目を担当。放課後などの時間帯を利用して学習指導を行う「子どもひまわり学習塾」の指導員として4校の小学校を担当。NGOピースボートが主催する地球一周クルーズに参加し、人種差別に関する企画やブラインドサッカーなど多様な自主企画を実施。

『僕がぼくであるために ピースボートで大東亜戦争のことを考えた』
出版社:花乱社 (2018/6/28)
内容紹介:
自分のスタイルを確立せよ!
色んなことを語ろう,学ぼう,世界を旅しよう。
ブラインドサッカー,尾崎豊・裕哉父子,ピースボートで出会った仲間たち,そして世界で初めて人種差別撤廃を訴えた祖国・日本から僕が学んだ人生のヒントとは?

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