ピースボート元乗船者団体、今夏のクルーズ出港差し止めを政府に要請

「地球一周の船旅100万円」と書かれたポスター。居酒屋などで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

これはNGOピースボートと株式会社ジャパングレイスが主催する地球一周クルーズを募集するポスターで、私も参加経験があります(2015年に地球一周クルーズに参加、2017年に台湾・宮古島方面を巡るショートクルーズに参加)。

実はこの度、私は「ピースボートの8月出港クルーズ中止を求める会」を設立し、日本政府や各省庁に対して「ピースボートの2020年8月出港クルーズ中止を求める声明」という声明文を提出するに至りました。

その内容は以下の通りです。

ピースボートの8月出港クルーズ中止を求める声明

私たちは、ピースボートクルーズ参加者(過去乗船者、スタッフ経験者など)によって組織された会です。

現在、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック状況を受けて、日本政府および各自治体は、7都道府県への緊急事態宣言、外出自粛要請、学校の休校措置など、数多くの対策を打ち出しています。

しかし現時点において、NGOピースボート・株式会社ジャパングレイスが主催する「第105回ピースボート 地球一周の船旅」(2020年8月出港)および「第4回ピースボートプレミアム 地球一周の船旅」(2020年8月出港)は調整を挟みつつも、実施の方向で動いております。これは現在の世界情勢に鑑みても、日本社会の動向と照らし合わせても逆行するものであり、適切な対応とは考えられません。

日本社会において新型コロナウィルス感染症の知名度が高まったのは、今年2月に横浜に寄港したイギリス船籍のクルーズ船・ダイアモンドプリンセスにおける集団感染に端を発しております。

この記憶が冷めやらぬ中でのクルーズ実施は、乗客・スタッフの親族や友人、各寄港地の運転手や通訳、ホテルスタッフ、ならびに現地住民の方などからの不安や反発を招くことに繋がりかねません。

また諸外国が都市封鎖(ロックダウン)を行う中、客船からの観光客らが大挙して押し寄せることは、不適切と言わざるを得ません。

万が一、クルーズ実施中に船内での感染者の発生・拡大(クラスター)や、クルーズを媒介とした船から寄港地、寄港地から寄港地への感染拡大(オーバーシュート)が発生した場合、NGOピースボート・株式会社ジャパングレイスのみならず、日本という国そのものへのイメージダウンに繋がりかねません。

従って、私たちは「第105回ピースボート 地球一周の船旅」および「第4回ピースボートプレミアム 地球一周の船旅」の即刻中止(あるいは無期限延期)を求め、政府にはNGOピースボート・株式会社ジャパングレイスに対する出港差し止め命令の発令を要請するものであります。

これは乗客・スタッフらの生命と安全を確保し、各寄港地の混乱を避けるためのものであり、ひいては諸外国から日本への好感度の低下を未然に防ぐことを目的としています。

以上、政府および国会に対して検討を求めます。

(2020年4月14日、政府に提出済)

ピースボート「いまのところやりますよ」

私は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行に、かねてより心を痛めていました。

ダイアモンドプリンセス号でのクラスター感染、日本を代表するコメディアン・志村けんさんの訃報、学校の休校措置…。東日本大震災の時とはまた違った、じわりじわりとした恐怖を感じ取っていたのです。

特に船旅に参加した経験がある私は、ダイアモンドプリンセス号のニュースを食い入るように見ていました。

そこでふと脳裏によぎったのは、「今年もピースボートクルーズは実施されるのか?」ということでした。そこでスタッフの方に問い合わせてみると、なんと「いまのところやりますよ」という返事が来たのです。

もちろん調整を挟んでおり、寄港地を変更するなどの可能性はゼロではないようですが、「いまのところは予定通りです。まだこの先の状況が読めないので」とのことでした。

絶対に今やってはいけない

ダイアモンドプリンセス号のニュースを鮮明に覚えていた私は、「このままではいけない」と決意し、先述の通り会員を集め、声明文を書き上げて提出するに至ったのです。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックは1年延期され(これも1年だけの延期で足りるのか大いに疑問ですが)、テレワークの実施、外出自粛要請などが行われている中、1000人規模の客船で船旅を行う。

これは絶対に今やってはいけないことです。

私はピースボート関係者が憎くて言っている訳ではありません。もちろん企画内容の偏りなど様々な瑕疵がNGOピースボートにあることも事実です(詳しくは拙著『僕がぼくであるために』を参照して頂けると幸いです)。

しかし私にとってあのクルーズはかけがえのない体験であり、大切な仲間との出会いを与えてくれたものでした。

しかしながら、「ピースボート関係者と仲が良いからピースボートを批判しません」というのは正義に反します。私は見知らぬ人が万引きをしていたら、「それ何やっているんですか?」とやんわりと注意します。

しかし、もし友達が万引きをしていたら「お前何やってんだ、おかしいだろ!」と強く注意します。相手が間違っていることをしていたら、それを止めたり注意したりして、正しい方向へと教え導く。それが真の仲間だと考えているからです。

『ハリー・ポッターと賢者の石』という小説に、次のような一節があります。

敵に立ち向かうのは大変勇気がいること。じゃが、友達に立ち向かうのはもっと勇気がいる。

正しいことを正しい、間違っていることを間違っていると主張すると、人は嫌われてしまう。それでも私は勇気をもって、声をあげる道を選びました。

今クルーズを実施しても、良いことは一つもありません。クルーズの中止ないし延期が正しい判断です。目先の利益に目を奪われ、「正しい運営」や「NGOピースボートの存続」といった本質を見誤ってはならないのです。

以上のことから私は、「第105回ピースボート 地球一周の船旅」および「第4回ピースボートプレミアム 地球一周の船旅」の即刻中止(あるいは無期限延期)を求めます。また乗客への旅行代金の返金(あるいは次回クルーズへの引継ぎ)も必要な措置だと考えます。

コロナ騒動に揺れる日本社会にて、こうした声をあげた会があったことを皆さんに知って頂きたいと思います。そして賛同して頂ける方は、この記事のシェアなどして頂けると幸いです。

矢野哲郎(やの・てつろう)/平成3年、福岡県行橋市に生まれる。下関市立大学経済学部卒。大学卒業後は塾講師の仕事を行い、国語・数学・英語などの科目を担当。放課後などの時間帯を利用して学習指導を行う「子どもひまわり学習塾」の指導員として4校の小学校を担当。NGOピースボートが主催する地球一周クルーズに参加し、人種差別に関する企画やブラインドサッカーなど多様な自主企画を実施。

『僕がぼくであるために ピースボートで大東亜戦争のことを考えた』
出版社:花乱社 (2018/6/28)
内容紹介:
自分のスタイルを確立せよ!
色んなことを語ろう,学ぼう,世界を旅しよう。
ブラインドサッカー,尾崎豊・裕哉父子,ピースボートで出会った仲間たち,そして世界で初めて人種差別撤廃を訴えた祖国・日本から僕が学んだ人生のヒントとは?

関連記事

  1. 明治維新150年目に振り返る 福沢諭吉の説いた自由と独立とは?

  2. 【安倍政権 七つの大罪】信じたのに救われなかった政権擁護派への教訓(中編)

  3. ハリポタ原作者を脅迫! LGBT運動を乗っ取った極左過激派「TRA」とは?

  4. 【統一地方選】日本共産党の驚くべき選挙運動の実態とは

  5. 亡命したチベット高僧「アジャ・リンポチェ」が遥々日本へ来る理由

  6. 皇太子殿下、即位への御覚悟「歴代天皇の御事蹟を振り返る」

  7. 【それいけ!ネコウヨ玉乃進】ネコでもわかるLGBT問題の背景とは?

  8. 陳浩天氏がビデオメッセージ「自由か死を」WEB正論が邦訳し公開

  9. 沈む船と乗客を見捨てるリーダーはいらない

公式SNSで配信情報をお届け!

twitter

facebook

Instagram

youtube

イベント情報

PAGE TOP