地球一周ピースボートで「大東亜戦争肯定論」を主張した理由(2)

『僕がぼくであるために ピースボートで大東亜戦争のことを考えた』(花乱社)
著者・矢野哲郎さん(27)インタビュー
聞き手:『選報日本』編集主幹 本山貴春

Q.ピースボートは反日的な左翼団体として有名ですが、事前に知っていましたか?

ネットで事前に得た情報や、ピースボートセンターに置いてある資料を見て知っていました。

例えばピースボートが説明会などで配布していた世界地図では、長い間北海道の北方領土はロシア領、長崎県の対馬は韓国領の色になっていました。他国の島嶼は細かい部分も正確に色分けされていたにも関わらず、です(この地図の間違いは、私の指摘を受けて、修正されたものを東京のスタッフの方が送ってくれたことで解決済みです)。

ちなみにピースボート側は、クルーズについて「若者が安いお金で色んな場所に行ける」事業と説明しています。

若い人は体力や行動力があるがお金と時間がない。しかし高齢者は時間もお金もある。海外に行きたいけどなかなか行けない若い人たちを応援する仕組み、というわけです。

若い人たちはピースボートのポスター貼りなどを行うことによって、高齢者よりも格安でクルーズに参加ができます。若者が非常に低いハードルで海外に行くことができるようになった、と言うのがピースボートの説明です。

事前説明会で「平和の旅」という表現があったり、ピースボートセンターに「反原発」の張り紙が貼ってあったりはしていました。ですがピーセンに通っている時点では、それほど本格的に政治的主張がなされているとは感じませんでした。

それでも私としては、歴史観などで明らかに考え方が違う人たちの中に飛び込むので、それなりに警戒心はありました。もっとも、ピーセンに通う間に知人や友人も増えたので、その意味では安心感もありました。

Q.ピースボートのクルーズ船にはどんな人が乗っていました?

世代として多いのは高齢者で、ついで10代後半から20代の若者が多いです。40–50代は少ないですね。男女比では女性が6割くらいです。

乗客はリピーターよりも初参加者が多いのですが、過去の参加者がスタッフとして乗船することも多いです。高齢者のリピート率は高く、中には10回くらい乗っているという人もいました。

若い人参加者は、ほとんどノンポリで、左派と右派の違いもわかっていませんでした。しかし高齢者にはガチガチの左翼もいました。私が「安保法案賛成」というプラカードを持っていると、「お前何やってるんだ!」と廊下をひきずられたこともあります。(暴力反対というが)言行不一致ですよね(笑)

ノンポリの若い人は、帰国する頃には左翼的になっている場合も多かったですね。若い乗客の多くは、もともと歴史の細かい部分を知りません。

乗船中、スタッフ主催企画の中で、よく「平和が大切です」という話をするのですが、一方的かつかなり偏った見解を述べます。例えば「沖縄戦は日本軍のせいで被害が広がった」などと、なぜそうなったかの経緯もろくに述べず、日本軍をことさら悪者扱いします。

また先ほどインド国民軍の記念碑について述べましたが、日本がインドなど、アジア各国の独立を支援した事実には一切触れません。逆に「日本軍が中国系の人々を虐殺した」、「英軍捕虜を虐待した」などということばかりがピックアップされ、その背景についても、歴史の光の部分についても述べないのです。

そうした流れもあり、私が実施した「安保法案賛成」、「人種差別と大東亜戦争」などの自主企画について、事前申請した際のスタッフの反応はよくなかったです。企画のタイトルを見ただけで硬直するといった場面もありました。企画を中止に追い込まれることはなかったですが、彼らはかなり動揺していました。私がどんな企画を行おうが、私の自由だと思うのですが…。

企画を開催する当日になって、会場が広いところから狭い場所に突然替えられてしまったこともありました。理由は「他に別の企画をすることになった」とのことでした。それにしたって、ちょっと強引というか、理不尽ですよね。圧力を感じました。

Q.この本をどんな人に読んで欲しいですか?

まずはやはりピースボートクルーズに参加した人たちです。スタッフの企画には(政治的な)偏りがありましたので、「スタッフの人たちが言っていることが全てではないよ」ということを知って欲しいです。

また高齢者の方々にも読んで欲しいと思っています。

88回クルーズに参加したときもショートクルーズに参加した際も、「人種差別と大東亜戦争」という自主企画を行いました。その際はやはり、若い人よりも高齢者の方々が多く参加してくれましたね。自分や自分の両親が生きていた時代の話なので、興味を持たれたのだと思います。

その中で参加者と激論になったこともあります。しかし先述した通り、年齢や立場、主義主張を超えて色んな人と対話したことは、私にとってかけがえのない心の財産になりました。

高齢者の方でも、案外知らないこともたくさんあります。GHQによる歴史教育の流れで知識が偏っていることもあります。

例えば、ショートクルーズでこの企画を行った際には、ある昭和5年生まれの方は感動して泣いておられていました。そして企画を終えたあと、握手を求められました。この企画を行って本当に良かったと自分の心が報われたことを鮮明に覚えています。

このように、やはり戦前生まれの方でも、戦後の教育や報道の影響で、具体的な歴史的事実を知らないこともたくさんあるのです。

もちろん若い人にも読んで欲しいです。とくに、どう生きるべきか将来に思い悩んでいる人たちですね。

私自身も、これまで言いようのない閉塞感を抱いていました。以前は人と話すのも得意ではなかったですし、同世代の人たちと比べて、スポーツや芸術などの才能に恵まれていたわけでもありません。そんな私でもできたのですから、誰であっても自分のスタイルを確立することができると知って欲しいです。

(続く)

矢野哲郎(やの・てつろう)/平成3年、福岡県行橋市に生まれる。下関市立大学経済学部卒。大学卒業後は塾講師の仕事を行い、国語・数学・英語などの科目を担当。放課後などの時間帯を利用して学習指導を行う「子どもひまわり学習塾」の指導員として4校の小学校を担当。NGOピースボートが主催する地球一周クルーズに参加し、人種差別に関する企画やブラインドサッカーなど多様な自主企画を実施。

『僕がぼくであるために ピースボートで大東亜戦争のことを考えた』
出版社:花乱社 (2018/6/28)
内容紹介:
自分のスタイルを確立せよ!
色んなことを語ろう,学ぼう,世界を旅しよう。
ブラインドサッカー,尾崎豊・裕哉父子,ピースボートで出会った仲間たち,そして世界で初めて人種差別撤廃を訴えた祖国・日本から僕が学んだ人生のヒントとは?


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