地球一周ピースボートで「大東亜戦争肯定論」を主張した理由(1)

福岡の小さな出版社から平成30年6月に出された一冊の本がある。この本を書いたのはまだ20代の青年。彼は北九州市内に住み、塾講師として勤めているという。一読して、まっすぐで瑞々しい感性に心打たれた。決して小難しい本ではない。ぜひ若い世代に読んで欲しい。

『僕がぼくであるために ピースボートで大東亜戦争のことを考えた』(花乱社)
著者・矢野哲郎さん(27)インタビュー
聞き手:『選報日本』編集主幹 本山貴春

Q.まず書籍という形で発信しようと思った理由を教えてください

書籍の出版の下地になったのは、新聞への投書です。私は大学生の頃から新聞への投書をするようになりました。当時何気なく新聞の投書欄を読んでいて、小・中学生も投書をしているのを見て、若くてもきちんと考えて発信している人がいるのだと刺激を受けたのが、投書を始めたきっかけでした。

投書の文章量はだいたい原稿用紙1枚分という短いものですが、何度か掲載されて、自分なりに充実感はありました。投書のストックが溜まっていくにつれ、それをまとめてみたい、さらには短い文章では伝えきれない思いを一冊の本にしたいと考えるようになりました。

そこで社会人2年目の時期に自費出版の説明会に参加したのですが、まだ自分も新米の社会人ですし、学生時代に特段変わった経験をしたわけでもありません。そこで前々から抱いていた、自分の目で世界を見て周りたいという気持ちも相まって、自分の考えを構築するためにも、NGOピースボートが主催する世界一周クルーズに参加してみることにしました。

私が参加したピースボート第88回クルーズは、2015年8月から同年12月にかけて実施され、そこでは多くの出会いに恵まれました。また私は色んな「企画」を行うこともしました。

クルーズ中は寄港地で過ごす時間よりも、船の中で過ごす時間の方が長いです。そのため船内では、漫才や映画鑑賞、あるいは戦争と平和について考える企画など、様々な企画が行われます。

またスタッフが行う企画だけではなく、乗客が主催する「自主企画」もあります。私もブラインドサッカー(パラリンピックの正式種目)の企画や音楽を流す企画、漫画『ドラゴンボール』が好きな人が集まる企画など明るく楽しいものから、安保法案に賛成する企画や人種差別の歴史に関する企画など真面目なものまで、多くの企画を実施しました。

企画を行う際は、自分の主張を一方的に押し通すのではなく、年齢や立場、主義主張を超えて、色んな人と対話するように心がけました。その経験を通じて私は、「心の財産」を獲得することができました。それを本にしようと思ったのです。

クルーズを通じて私は、人として大切なことは、「どこにいるか」や、「どこに行くか」という表面的なことではなく、「何を考え、何を行うのか」という内面的なことだと感じました。つまり、自分の考えを持ち、自分のスタイルを確立することの重要性を改めて知ったのです。

またグローバル社会と言われた久しいですが、そんな世の中だからこそ、外国語を学ぶとか、色んな国に行くというだけではなく、自分の国の伝統・文化・言語など、自国への誇りを持つことも大事だと感じました。

何でもかんでも国際基準に合わせるのではなく、それぞれの国が、自分の国に誇りを持つこと。その上でお互いを尊重し合うことこそが、真のグローバル社会だと私は思います。そういったことも発信したいと考えました。

Q.ピースボートのクルーズに参加した経緯を教えてください

ピースボートクルーズには2回参加しました。

1度目は、先述した2015年8月から12月にかけて地球一周した第88回クルーズです。2度目は、2017年12月から翌2018年1月にかけて台湾と宮古島をめぐるショートクルーズでした。

ちなみに東京・大阪・福岡などの都市部に、ピースボートセンター(ピーセン)というものがあります。そこではスタッフが常駐していて、クルーズに参加したいと思っている人たちが集まっています。私もクルーズに参加する約1年前から、福岡ピーセンに通うようになりました。

海外に行く方法は色々ありますが、ピースボートのクルーズは比較的価格も安く、多くの場所に行くことができます。航空チケットの手配や宿の予約など単独で行動するよりも煩わしさがなく、他の乗客と情報共有できるといったことが、ピースボートを選んだ理由でした。

ピースボートという団体について初めて知ったのは、近所のスーパーマーケットに貼っていたポスターを見たときでした。ネットでこの団体について調べてみると、近所で説明会があることが分かったので、参加してみました。

実を言うと、初めはピースボートクルーズに参加するつもりはありませんでした。自分で海外に行く際の参考として話を聞いてみよう、と気軽に参加してみた感じですね。

しかし、その後ピーセンで行われるイベントに参加したり、ピースボートが実施している活動(ポスター貼りなど)に参加したりする内に、この団体の良い部分も悪い部分も、段々とわかってきました。そして世界を実際に見てみるためにも、多様な価値観に触れるためにも、確固たる信念を胸に参加を決意しました。

Q.この本の中で矢野さんは大東亜戦争を肯定的に評価していますが、そう考えるようになったきっかけを教えてください

歴史の真実を知ったからです。

私は子供の頃から歴史が好きで、歴史に関する色んな本を読みました。学校では、戦後日本の流れとして左翼的な歴史教育が多かったです。私もそれを鵜呑みにしていた時期もありますが、私は若干ひねくれたところがあって、疑う気持ちが子供の頃からありました。

さらに、私の世代は小学生くらいからインターネットが発達し、ブログやSNS、掲示板などを用いて、誰でも発信や情報交換ができるようになっていました。そしてネットを見てみると、マスコミでは報道されず、学校教育では教えられていなかった事実や現地の方の声などを見ることができました。

ネット上の情報をみて愛国的なことを言う人たちを指し、十把一絡げに「ネトウヨ」と表現する人がよくいます。

確かにネットの中には、有害な情報や間違った情報もあります。しかし当然それだけではないですし、ネットは正しく使えば便利なものです。

自分と考え方が違うだけで「ネトウヨ」というレッテルを貼るのは、表面的で独善的な評価でしかありません。

ネットで色んな情報を得ることは、決して間違ったことや愚かなことではありません。それで考え方が変わったり、見識が広がったりすることもおかしいことではありません。

ネットの情報だけでなく、本を読んだり、人と対話したりしたことも大きいですね。

私はもともと読書が好きで、拙著にも数多くの参考文献を挙げています。参考文献の著者の方と実際に会って話を伺ったこともあります。参考文献を事前情報として、クルーズの際に現地を見聞きしたことも大きかったです。

ピースボートクルーズに参加している人の多くは、それほど歴史に詳しくなかったように思います。多少詳しい人でも、歴史教科書やマスコミの報道の受け売りであることが多いです。

例えば、日本ではインドの独立に貢献したガンジー(非暴力・不服従で有名)のことは習います。しかしインド独立の真の立役者であるインド国民軍については習いません。私はシンガポールに寄港した際、インド国民軍の記念碑を見に行きました。

その記念碑には、

「日本がシンガポールを占領し、英国人を捕虜にした。インド人も独立しようと思っている。インド人にとって(インドを植民地にした)英国人は敵で、敵の敵は味方なので、日本は味方だ。日本が協力してインド国民軍がシンガポールで設立され、ともに英国軍と戦い、インド独立を目指した」

と書かれています。独立を勝ち取るために勇敢に戦ったインド国民軍の勇姿については、著書に詳しく書いていますので、ぜひお読みください。

(続く)

矢野哲郎(やの・てつろう)/平成3年、福岡県行橋市に生まれる。下関市立大学経済学部卒。大学卒業後は塾講師の仕事を行い、国語・数学・英語などの科目を担当。放課後などの時間帯を利用して学習指導を行う「子どもひまわり学習塾」の指導員として4校の小学校を担当。NGOピースボートが主催する地球一周クルーズに参加し、人種差別に関する企画やブラインドサッカーなど多様な自主企画を実施。

『僕がぼくであるために ピースボートで大東亜戦争のことを考えた』
出版社:花乱社 (2018/6/28)
内容紹介:
自分のスタイルを確立せよ!
色んなことを語ろう,学ぼう,世界を旅しよう。
ブラインドサッカー,尾崎豊・裕哉父子,ピースボートで出会った仲間たち,そして世界で初めて人種差別撤廃を訴えた祖国・日本から僕が学んだ人生のヒントとは?


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