「自衛隊による拉致被害者救出を」女優の葛城奈海さんが異例の訴え

平成29年12月6日、北九州市八幡東区の響ホールで拉致問題啓発講演会が行われ、葛城奈海さんによる「拉致被害者救出のために、私達のなすべきこと」と題した講演が行われた。

葛城奈海さんは女優でありながら、予備自衛官であり、予備役ブルーリボンの会広報部会長として、拉致被害者救出運動に取り組んでいる。

講演のはじめ、葛城さんは八幡東区で拉致された特定失踪者(※)の加藤久美子さんを紹介した。拉致の可能性を排除できない人は日本に千人近くおり、北九州でも拉致は起きていたのだ。

加藤久美子さん

まるでテレビや教科書の中の出来事のような拉致事件だが、実は身近なところで起きていると言うことを痛感した。

加藤久美子さんが拉致された八幡東区大蔵地区。加藤さんは、このあたりで妹と別れた後、路面電車大蔵電停で拉致された。

ところで、人権問題と聞いて、真っ先に拉致問題を思い浮かべる人は少ないのではないか。

筆者自身、高校生のとき初めて拉致事件が人権侵害問題ということを知った。

実は、拉致事件は、人権侵害問題として法律で明記されているのだ。平成18年6月に施行された「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」により、国及び地方公共団体の責務等が定められるとともに、毎年12月10日から同月16日までを「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」とすることとされている。

なぜ、拉致事件が人権侵害問題なのか、葛城さんは、拉致被害者の田口八重子さんの話しなどを引用し、説明した。

拉致被害者の田口八重子さんは、乳飲み子を日本に残したまま拉致された。

田口八重子さん。昭和53年6月、2人の子供を東京・高田馬場のベビーホテルに預けたまま、拉致された

葛城さんは、拉致問題啓発舞台劇『めぐみへの誓い―奪還―』のシーンで、田口八重子さんが、「除夜の鐘が聞きたい」と絶叫したシーンを紹介した。除夜の鐘と言えば、日本の年末の風物詩だ。北朝鮮に拉致された方々は、日本にいれば享受できた何気ない日常を奪われているのだ。

確かにその通りである。これのどこが平和であり、人権が保障されているのだろうか。私たちは、40年間以上、拉致事件を解決できずにいる。それは同時に、拉致被害者にとっては、40年間人権侵害を続けられているということなのだ。

北朝鮮は独裁国家であり、人権のない国である。国家元首の金正恩は、実の叔父を殺し、兄を毒殺している。「そのような国に拘束されているということは、拉致被害者は明日をも知れない命である」と、一刻も早い拉致事件解決を訴えた。

講演の終盤では、葛城さんは、「自衛隊による拉致被害者救出」というプランを提示された。今まで、拉致事件解決の重要性を訴える方は多かったが、この講演会では、具体的に人権侵害をどう解決していくかを具体的に提示したのである。

「自衛隊による拉致被害者救出」というプランを初めて聞いた人も多いかも知れない。また、「自衛隊を使うなど過激だ。違法ではないのか…」と思われる方もいるかも知れない。

しかし、拉致被害者救出のための政府の努力は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」で明記されている。

国は、北朝鮮当局による国家的犯罪行為である日本国民の拉致の問題(以下「拉致問題」という )を解決するため、最大限の努力をするものとする(第二条)。

また、自衛隊法84条その3では、次のようにある。

防衛大臣は、外務大臣から外国における緊急事態に際して生命又は身体に危害が加えられるおそれがある邦人の警護、救出その他の当該邦人の生命又は身体の保護のための措置(輸送を含む。以下「保護措置」という。)を行うことの依頼があつた場合において、外務大臣と協議し、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、部隊等に当該保護措置を行わせることができる。

つまり、内閣総理大臣の決断さえあれば、例えば北朝鮮でクーデターや戦争などの騒乱があった場合、“相手国の同意”という制約があるものの、拉致被害者救出に自衛隊を用いることができる。法的には自衛隊による拉致被害者救出は可能なのである。

葛城さんは、自らが自衛官という立場であり、自衛隊による拉致被害者救出の命令が出たときに、真っ先に命が危険にさらされる身分でありながらも敢えて言う。

「自衛官の命を危険にさらすことを心配する方もいるかもしれない。安保法案のときもそのような声があった。その気持ちはありがたい。しかし、それよりも心配すべきは国民の命なんです。むしろ、拉致被害者を救うために自衛官になったのに、救えない方が悔しい」

また、陸上自衛隊特殊作戦群初代群長の荒谷卓さんの言葉も引用された。

「もし、拉致被害者1人を救うために10人の自衛官が死んだとしても、それは私たちの作戦が未熟だっただけです」

最後に、葛城さんはもし、拉致被害者救出が叶ったら、「拉致被害者に謝罪しなければならない。今まで助けることが出来なかったことを謝罪しなければならない」と言い、そのために、私たちが考え声をあげていかなければならないと言いってしめられた。

葛城さんは、敢えて、今回踏み込んだ話しをした。人権は大切だし、命も大切だ。私たちは、そのように学校では教わってきた。

しかし、誰かの命を救うために命を投げ出すと言うことは現実に起こりうる。事実、拉致被害者救出の本質は、誰かの命を以て誰かの命を救うということを国民が決断すると言うことだ。

民主主義の日本では、国民が考え、最終的な判断をしなければならない。

今回は、人権週間記念講演会の名にふさわしい講演会であった。人権教育では、人権や命の大切さを説くだけに終始することが多い。ところが現実には、人権を守る努力をしなければ、人権は守られない。空気や水とは違うのだ。

人権を守るためには、何をすべきなのか。そこまで踏み込んだ、まさに、趣旨を体現したような、画期的な講演会であった。


▽自衛隊による拉致被害者救出を!!(予備役ブルーリボンの会)
https://youtu.be/tblbCBZZDAs

※特定失踪者…「特定失踪者」とは北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者を指す。現在日本政府が認定している拉致被害者は17名に過ぎないが、実際はそれより遙かに多くの人(警察庁発表で868人)が拉致されている疑いがある。

齋藤元孝(さいとう・もとたか)/平成6年生まれ。北九州市立大学法学部政策科学科在籍。2009年、当時中学3年生の時に迎えた政権交代に衝撃を受け、政治に興味を持ち始める。知行合一をモットーに、現場に入って学ぶことを重視する。現在、救う会などの社会運動にも参加している。

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