亡命したチベット高僧「アジャ・リンポチェ」が遥々日本へ来る理由

あなたは米国へ亡命したチベット高僧「アジャ・リンポチェ」を知っているだろうか。ダライ・ラマ法王の信任厚く、世界中の仏教徒から慕われる人物だ。この度、Select:Japan編集部はアジャ・リンポチェ猊下の独占インタビューに成功した。

チベット仏教においては、全ての死者は生まれ変わる(輪廻転生)と考えられており、ダライ・ラマ法王や、一部の高僧については転生者の捜索が行われる。アジャ・リンポチェはそのような転生者の一人だ。

第二次大戦後、チベット国は中国人民解放軍の侵略を受け、占領された。そしてチベット仏教も過酷な弾圧を受ける。アジャ・リンポチェはその中でチベット仏教の信仰を守り続けたが、最終的に米国への亡命を決意し、現在では米国を拠点に活動を続けている。

そんなアジャ・リンポチェが頻繁にやって来るのが日本だ。なぜ日本なのか。その真相に迫った。以下、インタビューの内容を数回に分けて紹介したい。

アジャ・リンポチェ8世(アジャ・ロサン・トゥプテン) インタビュー
聞き手:独立社PR,LLC代表 本山貴春

Q.最初に日本に来られたきっかけを教えてください

私が初めて日本に来たのが1984年です。その時から、日本の気候や風土が好きになりました。その頃はチベットに住んでいました。国際交流イベントへの参加を目的として訪日したのです。

もう一つ、日本に来た目的がありました。実は、私は前世においても日本に来たことがあるのです。当時、中国は清王朝の時代でした。その時お世話になった、寺本さんという日本人の末裔に会いたかったのです。

Q.どれくらいの頻度で来日されているのですか?

実は、2011年の東日本大震災以降、毎年訪日しています。

あの時、津波の様子を米国のテレビで見て、とても悲しい気持ちになり、是非被災地へ行かねば、と思ったのです。

そして仙台のあるお寺で奉仕活動をしました。そのお寺の住職とはもともと知り合いだったので、ささやかですが何か力になれればと思い、やって来ました。

その際、仙台のお寺に仏像を安置させていただきました。

それは「母なる仏像」※と呼ばれるもので、広大な愛で守ってくれる仏様です。チベットから米国に亡命する際に私が持ち出したもので、津波の被害にあった方々を守って欲しくて、お持ちしました。

※ターラー菩薩(観音様が流した涙から蓮が生え、その花の中から生まれたとされる菩薩の像)。仙台市の松音寺に安置された。

Q.東日本大震災の被災者と交流されてどう感じましたか?

津波の被害に遭われた方々は大変に不幸でした。私も様々な苦難を経験していますから、被災者の方々のお気持ちはよくわかる気がします。

被災地のある学校を訪れた際、一人の女性から話を聞きました。

その学校の子供達が逃げる際、一人の男の子が不幸にも津波に飲み込まれました。その時のことを、女性は涙を流しながら私に話してくれました。私はその場で、その女性と亡くなった男の子のために経を唱えました。

当時、多くの日本人と会いました。通訳を介しての交流でしたが、気持ちは通じ合えたように思えました。会う人ごとに、私は経を唱えました。もちろんチベット語のお経ですから、意味は通じなかったと思いますが、心を癒すことはできたように思います。

《続く》


▽アジャ・リンポチェによる回想録。このたび邦訳・出版された。

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