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衆院解散!自民党と希望の党の全面対決で予想される「3つの争点」とは?

平成29年9月28日正午、恐れ多くも天皇陛下の名において衆議院が解散された。解散詔書の本文「日本国憲法7条により衆議院を解散する」を大島衆議院議長が代読し、議場には万歳三唱が沸き起こる。

しかし、そこには解散に反発する民進党及び共産党の姿はなかった。直ちに民進党は両院議員総会を開き、衆院選において公認候補を擁立せず、個別に希望の党へ公認申請することを全会一致で決定。野党第一党が戦わずして消滅することが確定した。

一方、一躍「渦中の人」となった小池都知事は午後3時ごろ日本記者クラブで会見を開き、「国政に戻るのではないかと賑わっているが、今の国会が変わらない限り、都政でしっかり頑張る」と自身の都知事辞任=衆院選出馬説を重ねて否定した。

今後、民進党議員の何割が希望の党の公認を得られるかがポイントとなる。希望の党関係者は「少なくとも安保法制に反対してきた人は公認しない」と明言している。

民進党側が要望するように、全議員を希望の党が公認する事態になれば、希望の党は「民進党が看板を変えただけ」ということになり、国民の支持は得られないだろう。

さて、民進党の「自爆」によって総選挙の対立軸が大きく変わった。自民党&公明党と希望の党の対決である。自由党と維新の会は希望の党に擦り寄っており、民進党との選挙協力をあてにしていた社民党や共産党は蚊帳の外に追いやられた形になった。

自民党&公明党と希望の党の争点は何になるだろうか。以下に3つの争点を考えてみたい。

1.消費税増税の是非

安倍首相は解散にあたり、「消費税の使い道を変える」ことを掲げた。2年後に迫る消費税増税(8%→10%)を予定通り実施し、その大部分を国債などの借金返済に回さず、社会福祉に充てる、というものだ。

消費増税については民進党も賛成していたため、大きな争点にはならないと見られていた。しかし希望の党が消費税凍結を打ち出したことで、最大の争点として浮上している。

消費増税を最も強力に進めてきたのが財務省である。

財務省は増税を2度も延期した安倍政権を許していない。そのため、「森友・加計学園問題」をマスコミにリークし、スキャンダル化を図った。社会保険庁が年金記録問題をリークして第一次安倍政権を崩壊に追いやったケースと似ている。

安倍首相は最終的に財務省に膝を屈し、総選挙で増税断行を掲げざるを得なくなった。増税凍結を掲げる希望の党がどれだけ躍進するかによって、増税の可否に関する国民の審判が下されることになる。

安倍政権が維持されたとしても、消費増税の公約が自民党議席減の原因となれば、増税凍結の根拠となり得る。

そもそも消費増税すれば景気が悪化し、却って税収が減る、というのがこれまでのパターンだ。逆に減税すれば、好景気となり税収は上がる。日本経済には成長の余地があるというのが経済評論家などの見立てだ。

消費税増税は権限を増やしたい財務省の利己的な政策であって、日本国民にとってメリットはない。増税阻止は戦後長らく続いた官僚独裁政治の脱却に道を開くだろう。

2.対北朝鮮強硬路線の是非

衆議院がこのタイミングで解散総選挙になだれ込んだ背景には「北朝鮮問題」がある。今年の11月にはトランプ大統領が日本・韓国・中国を歴訪し、北朝鮮への武力行使の容認を取り付けると見られている。

トランプ大統領は米中全面戦争(=核戦争)を回避するためには北朝鮮への武力行使を中国に認めさせる必要がある。そして今年10月は中国共産党の党大会がある。従って、少なくとも10月中には戦争にならない。

11月に武力行使が行われれば、日本は安保法制を適用して「参戦」する必要が出てくる。仮に後方支援(兵站)にとどめるとしても、国内の米軍基地は対北朝鮮作戦の拠点となるため、高みの見物とはいかない。

安保法制成立後は衆院選が行われていないため、安倍首相は開戦前に国民の「安保法制承認と政権継続承認」を取り付けておく必要があると考えた。

とくに安倍首相は拉致問題解決を政権の最優先課題と言い続けてきた。しかし未だに解決の糸口すら見えず、拉致被害者家族の忍耐は限界を超えている。

最近になって日本政府は世界各国に北朝鮮との断交を求め始めたが、冷戦終結後に東側諸国と国交樹立することを至上命題としてきた外務省は、それを阻害する拉致問題をながらく邪魔者扱いしてきた。

また、自民党議員の多く、特に地方議員は、朝鮮総連と深い関係にある。北朝鮮利権が自民党に巣食っているために、安倍首相といえども充分な対北強硬路線を取れない。外国に断交を求めながら、国内の朝鮮総連や朝鮮学校を放置していることが何よりの証拠だ。

一方で小池都知事は都知事就任直後、都のウェブサイトから削除されていた「朝鮮学校調査報告書」という北朝鮮にとって都合の悪い文書の再掲載を指示し、朝鮮学校への補助金停止を勝ち取った元都議を都民ファーストの代表に据えるなど、対北強行路線に見える。

朝鮮総連が運営する朝鮮大学校は東京都に認可された学校法人であり、かつて美濃部都知事が政府の制止を振り切って認可した経緯がある。

現在、対北政策は国家レベルの舵取りが必要なため、都知事が独断で認可取り消しを行う可能性は低いが、希望の党が国政選挙で躍進すれば、認可取り消しに踏み切ることも考えられる。

朝鮮学校は朝鮮総連にとって重要な利権であり、それを自民党政権が潰せば、地方議員の反発を受けて政権の足元が揺らぎかねない。しかし希望の党にはそのようなしがらみが(今のところ)無い。

希望の党が結党にあたり、元拉致問題担当相で日本のこころ代表の中山恭子参院議員を取り込んだことも、対北強行路線を思わせる。中山恭子議員は安保法制の国会質疑において自衛隊による拉致被害者救出を訴えている。

希望の党が躍進することで、硬直化した北朝鮮の核武装問題や拉致問題が動き出すことも考えられる。

3.憲法全面改正の是非

安倍首相は平成29年5月、憲法記念日に合わせて「憲法9条への自衛隊明記論」を打ち出した。これは、現在の9条の条文を残し、自衛隊保持の文言を追記するというものだ。

憲法9条の改正にはいまだ国民の間で不安感があり、公明党創価学会が反対しているため実現可能性は低かった。しかし「自衛隊追記」であれば現状を憲法に反映するだけであるため、実現可能な案として受け止められていた。

憲法へ自衛隊を「追記」するメリットは、少なくとも自衛隊が「違憲の存在」と呼ばれなくなり、他の行政機関からの不当な差別や迫害を受けなくなることだ。

諸外国の軍隊と同じように、国家元首(わが国では天皇陛下)から勲章などを授与されることも可能となるかも知れない。防衛予算も今より増やせる可能性が出てくる、というのが「自衛隊追記」推進派の見方だ。

デメリットとしては、「実を捨てて名をとる」可能性もあるということだ。

憲法改正には国民投票が必要であり、依然根強い護憲派の猛烈な反対運動が予想される。改憲派がそれを乗り越えて国民投票に打ち勝つには莫大なエネルギーが必要であり、改憲のためには他の政策を捨てることになりかねない。

例えば、消費税増税を容認し、再び景気が悪化するのに任せるということもその一つだ。

さらに、朝鮮半島を火薬庫として東アジアが戦乱に包まれた場合、「自衛隊」と憲法に明記された実力組織が自衛戦争を戦えるのか、という懸念もある。

9条を温存するということは、追記された自衛隊は軍隊では無いことになり、交戦権がないため、国防上の懸念は払拭されない。安全保障の観点からは、改憲に投じるエネルギーの費用対効果は怪しい。

希望の党の憲法案は示されていないが、小池都知事は「9条に限定しない改憲議論」を唱え、新党への参加者は改憲派であることを条件として挙げている。また、希望の党に合流した中山恭子氏は自ら主導して「自主憲法案」をまとめ上げた実績がある。

もし希望の党が大勝すれば、公明党を除く「自民—維新—希望」で国会の2/3を確保し、憲法の全面改正に道を開く可能性も出てくる。

ほんとうに希望の党は「改革保守政党」になるのか

以上は、文字どおり「希望」的観測だ。希望の党がどのような公約を掲げるのか、候補者の顔ぶれがどうなるのか、それに対して自公政権がどう対応するのか、によって争点は大きく変わる。

例えば、安倍首相が土壇場で消費増税の公約を修正して「凍結宣言」し、財務省増税派の打倒(つまり官僚支配の脱却)を掲げるなら、最大の争点が霧散霧消して希望の党の勢いを削ぐことになるだろう。

また、民進党の左派を含む全議員が希望の党に参加すれば、上記のような主張は説得力を失うか、公約に盛り込まれることもなくなり、争点が消滅し、希望の党の躍進は見込めない。

今後の選挙情勢次第では、わが国の進路が大きく変わる。ますます目が離せなくなってきた。

本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。

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