いまチェックしておくべき話題はこちら!

『満洲文化物語』著者に聞く(後編)満洲国建国の挫折から日本人が学ぶべきこととは

集広舎刊『満洲文化物語』著者・喜多由浩氏(産経新聞編集委員)インタビュー
於・産経新聞東京本社/聞き手・本山貴春(Select:Japan編集部)

満洲国は日本にとってどういう存在だったのでしょうか?

『満洲文化物語』にも書きましたが、世界へ向けた「ショーウインドウ」だったと思います。「遅れて来た先進国である日本」が、新たに手にした土地で、一体どのような統治を行うのか、当時の全世界が注目していた筈です。

それまでの欧米型の徹底的な搾取をするのか、あるいは日本独自の新しい統治形態があるのか、と。日本は後者を選びました。

それには初代満鉄総裁の後藤新平の存在が大きかった。彼は「文装的武備」というモットーを掲げました。それは欧米的な搾取はダメで、満洲に新しい文化を日本人の手で築いていくんだ、という大方針を立てるわけです。

つまり、鉄道を敷き、道路を整備し、学校を建て、病院を作って、産業を興すと、そういうことをやって力を蓄える。それを実際に日本は満鉄を中心にしてやった。それは明らかに欧米型の植民地支配とは異なり、現地の子供たちにも教育を与え、民生面も充実させました。

これらの政策は世界へ向けたショーウインドウであり、こういうことは日本にはあまり経験のないことでしたから「実験場」という側面もありました。ところが日本が戦争に負けたために、全てがゼロどころかマイナスになってしまったというのは、私は残念だと思いますね。

日本人は、当時の国力から考えてもよく頑張ったと思います。戦後評価されるような酷い植民地支配でなかったことは、当時そこに住んでいた人たちが一番良く知っています。しかし戦後、それは公の場では言えなかったんです。

『満洲文化物語』著者 喜多由浩氏(産経新聞社)

現代日本人が満洲建国の挫折から学ぶべき教訓は何でしょうか?

プロパガンダ(政治宣伝)戦だと思います。

日本人は「俺が俺が」といった感じの宣伝が、どう見ても下手くそなんですね。例えば「従軍慰安婦」問題や「朝鮮人徴用工」問題、中国の「南京大虐殺」など、関係ないようで関係あると思います。

これはプロパガンダの争いです。事実がどうだ、ではなくて、日本は宣伝戦で負けているわけです。

満洲にしてもそうで、中韓だけでなく、米国も東京裁判などを通じて、日本が二度と立ち上がらないように、日本が悪いことをしたんだと徹底的に宣伝し、それが戦後70年以上続いています。

日本はそれに対して明確な反論をしてこなかった。それは日本人の気質によるものも大きいと思いますが、「従軍慰安婦」にしても河野洋平官房長官(当時)が認めちゃっているわけです。

やはりそれはプロパガンダ戦で負けているということです。日本は島国ですし、対外戦争の経験があまりありませんから、宣伝戦を含めた外国との戦い方というものをよく知りません。

しかも戦争に負けて、「お前たちの先祖は悪いことをしたんだ」と徹底的に教育で植えつけられて、それに呼応する日本人もたくさんいて、もう「反論してはいけない」という感覚が染み付いてしまっています。

特に我々の世代はそういう「反日教育」を受けて来ました。専門家は「これからの戦争は武力よりもプロパガンダ戦になる」とはよく言いますが、しっかりとした歴史観を持ち、反論すべきことは反論することが大事だと思います。

少なくとも欧米諸国の搾取型植民地支配に比べれば、当時の日本は良心的なことを一生懸命やったと言って良いのではないでしょうか。

『満洲文化物語』連載に書けなかったことはありますか?

取材して来たことを、書き尽くしたとは言えないかも知れません。

約40年の間に満洲に日本人が残した足跡というのは膨大です。それが戦後ゼロにされ、マイナスにされ、アンタッチャブル(触れてはならないもの)にされてしまった。

『満洲文化物語』は、その一端を掘り起こした程度です。もっともっと、無念の思い、やりきれない思いを抱いたまま亡くなって行った満洲引揚者も多い筈ですし、そういった方々の「満洲への想い」を充分伝えきれたかというと、全然追いついていない気がします。

書籍に収録できたのは新聞連載の半分くらいです。これからは時間との競争です。満洲出身者の高齢化も進んでおり、当時小学生だった人も80代を超えています。かなり厳しい状況ですが、これからも私のライフワークとして取り組んでいきたいと思っています。

▽あわせてお読みください
『満洲文化物語』著者に聞く(前編)日本で差別された満洲引揚者の苦悩とは

関連記事

  1. 日本は負けていなかった?忘れられた開戦の「政府声明」とは

  2. 男の戦闘服=スーツの起源はズバリ「軍服」にあった!?

  3. 北朝鮮ミサイルが日本国民を殺傷した場合、政府は反撃できるのか?

  4. まもなく衆院選!安倍首相が失地回復する秘策は「消費税増税凍結」にある

  5. お盆だから知っておきたい 先祖崇拝と仏教は無関係という衝撃の真実?!

  6. 中国・上海で二人暮らしするのに必要な収入はいくらか計算してみた

  7. 「南京大虐殺」は中国によるデマ宣伝だった 南京攻略時の秘蔵フィルム公開

  8. 東京五輪が危ない!米国の専門家が危惧する日本の「GHQベイビー」とは誰か

  9. 沈む船と乗客を見捨てるリーダーはいらない

人気記事

PAGE TOP