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荒野に近代都市を建設した「南満州鉄道」は物凄い企業だった!

満洲国といえば、わが帝国陸軍(関東軍)が建国した傀儡国家として知られている。しかし実は、満洲国には建国に至る「前史」があった。南満洲鉄道株式会社(満鉄)による都市建設である。

満洲がわが国の影響下に入ったのは、明治38年に日露戦争に勝利して以降のことだ。ロシア帝国は戦後賠償の一部として、満洲に敷設していた鉄道の一部をわが国に譲渡。これを経営するため、翌39年(1906年)半官半民の「南満洲鉄道株式会社」が設立される。

満洲事変を経て満洲国が建国されたのが昭和7年(1932年)なので、26年の開きがある。満洲国がわが国の敗戦に伴い滅亡するのが昭和20年(1945年)。満洲国の歴史は13年しかないので、満鉄の「前史」は建国後の倍もあったということになる。

産経新聞の喜多由浩氏による新著『満洲文化物語』(集広舎刊)に描かれる満洲の歴史は、大半が満鉄による「前史」の時代だ。同書に登場する満鉄は、単なる企業の枠を大きく超えていた。

満鉄は、鉄道経営は当然のことながら、満洲の荒野に近代都市を築き、炭鉱・製鉄所・農園などを建設。港湾、電力インフラ、ホテル、航空会社をも運営し、大学から小学校まで設立して教科書も制作発行している。

それだけではない。満鉄には鉄道附属地における行政権が付与されていた。病院、図書館、道路、消防、火葬場など、行政全般を担い、都市計画は全て満鉄が描いたのだ。それら都市建設の莫大な費用は、ロンドンで発行した社債によって賄われた。

満鉄の行政権が満洲国に移管されるのは、昭和12年、満洲国建国から5年後のことになる。その際、満鉄職員の多くも満州国に移籍することになった。

『満洲文化物語』には満洲で生まれ育った日本人の証言が多く収録されている。それらの証言によると、満洲国が建国される前の、満鉄による都市経営時代の方が、自由で先進的な行政がなされていたことがわかる。

それというのも、満洲国建国後、日本から高級官僚が派遣され、満鉄の権限が次々に剥奪・分断されていったためだ。関東軍や高級官僚らは満鉄が持つ巨大な権益を奪おうとしたのだろう。

満鉄のように都市建設や行政までも担った会社としては「イギリス東インド会社」「オランダ東インド会社」などによる植民地経営が知られている。

満鉄は、鉄道会社としても桁外れだった。

満洲鉄道が開発した特急「あじあ号」は、時速130キロを誇り、当時の日本国内のどの列車よりも早かった。これは、満洲では日本よりも幅の広い線路を敷くことができたためだ。戦後、日本では線路の幅を広くして新幹線が開発されている。

通算40年近くにわたる満鉄の歴史も、現代の日本人から忘れられた秘史の一つだ。企業経営の発想を持ちつつ都市を建設し、行政サービスを提供した満鉄の知恵と工夫を知ることは、現代の地方自治のあり方を考える上でもヒントになるかも知れない。

本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。

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