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日本は負けていなかった?忘れられた開戦の「政府声明」とは

今年も8月がやってきた。日本人にとって8月15日は、第二次世界大戦(大東亜戦争)の戦没者を弔う大切な「終戦記念日」だ。大手メディアではこれでもか、と、戦争の悲惨さを示す映像や写真が流される。

「終戦記念日」というと、「敗戦なんだから、敗戦記念日と呼ぶべきだ」といった議論もなされる。確かに日本はアメリカに敗れたが、近年、「実は戦争目的を達したのは日本だったのではないか」という評価が一部にある。

その証拠の一つとされるのが「帝国政府声明文」と呼ばれる公文書の存在である。同声明文は、開戦の日の翌日である昭和16年12月9日に発表された。開戦の詔勅(天皇陛下のお言葉)を受けての、政府声明という体裁をとっている。

以下に原文と、編集部による現代語訳を交互に掲載する。

(原文)恭しく宣戦の大勅を奉載し、茲に中外に宣明す。

(訳文)つつしんで天皇陛下の開戦のお言葉をいただき、ここに広く宣言します。

(原文)抑々東亜の安定を確保し、世界平和に貢献するは、帝国不動の国是にして、列国との友誼を敦くし此の国是の完遂を図るは、帝国が以て国交の要義と為す所なり。

(訳文)そもそも、東アジアの安定を確かにし、世界平和に貢献することは、わが国の国家目標であって、先進諸国との友好を深め、この目標達成を図ることは、国家の最優先課題です。

(原文)然るに殊に中華民国は、我が真意を解せず、徒に外力を恃んで、帝国に挑戦し来たり、支那事変の発生をみるに至りたるが、御稜威の下、皇軍の向ふ所敵なく、既に支那は、重要地点悉く我が手に帰し、同憂具眼の十国民政府を更新して帝国はこれと善隣の諠を結び、友好列国の国民政府を承認するもの已に十一カ国の多きに及び、今や重慶政権は、奥地に残存して無益の交戦を続くるにすぎず。

(訳文)ところが、特に中華民国は、われわれの真意を理解しようとせず、いたずらに外国の力に依存して、わが国を挑発し、支那事変を招くに至りましたが、天皇陛下のご威光のもと、わが軍の向かう所敵なし、すでに支那(中国)の重要拠点はわが国が占領し、志を同じくする新たな中国政府が樹立されたので、わが国はこれと友好関係を結び、新政府を承認する友好国は11カ国に至っており、今や中華民国重慶政権は支那奥地に一部の残存勢力が無益な抵抗を示しているに過ぎません。

(原文)然れども米英両国は東亜を永久に隷属的地位に置かんとする頑迷なる態度を改むるを欲せず、百方支那事変の終結を妨害し、更に蘭印を使嗾し、佛印を脅威し、帝国と泰国との親交を裂かむがため、策動いたらざるなし。乃ち帝国と之等南方諸邦との間に共栄の関係を増進せむとする自然的要求を阻害するに寧日なし。その状恰も帝国を敵視し帝国に対する計画的攻撃を実施しつつあるものの如く、ついに無道にも、経済断交の挙に出づるに至れり。

(訳文)ところがアメリカとイギリスの両国は東アジアを永遠に植民地化しようとする頑固な態度を改めることなく、支那事変の収束を妨げ、さらに、インドネシアを植民地とするオランダをけしかけ、ベトナムなどを植民地とするフランスを煽り、わが国とタイ王国の関係を裂くために陰謀を巡らしています。つまりは、わが国が東アジア諸国との間に経済圏を築こうというごく自然な希望を邪魔すること、キリがありません。それは、あたかもわが国を敵とみなし、わが国へ計画的な攻撃を実行しているに等しく、とんでもないことに経済封鎖という暴挙に出ました。

(原文)凡そ交戦関係に在らざる国家間における経済断交は、武力に依る挑戦に比すべき敵対行為にして、それ自体黙過し得ざる所とす。然も両国は更に余国誘因して帝国の四辺に武力を増強し、帝国の存立に重大なる脅威を加ふるに至れり。

(訳文)戦争当事国どうしでもないのに経済封鎖するということは、武力攻撃に等しい敵対的行動であって、とうてい容認できません。さらに英米は諸外国に呼びかけてわが国周辺に軍隊を集め、わが国を存亡の危機に陥れようとしています。

(原文)帝国政府は、太平洋の平和を維持し、以て全人類に戦禍の波及するを防止せんことを顧念し、叙上の如く帝国の存立と東亜の安定とに対する脅威の激甚なるものあるに拘らず、堪忍自重八ヶ月の久しきに亘り、米国との間に外交交渉を重ね、米国とその背後に在る英国並びに此等両国に附和する諸邦の反省を求め、帝国の生存と権威の許す限り、互譲の精神を以て事態の平和的解決に努め、盡す可きを盡し、為す可きを為したり。然るに米国は、徒に架空の原則を弄して東亜の明々白々たる現実を認めず、その物的勢力を恃みて帝国の真の国力を悟らず、余国とともに露はに武力の脅威を増大し、もって帝国を屈従し得べしとなす。

(訳文)わが国は太平洋の平和を守り、全人類が戦禍に巻き込まれるようなことにならないために、前述の通り自国の存亡と東アジアの平和が脅かされているにも関わらず、8ヶ月間も耐え忍んで、アメリカと外交交渉を重ね、アメリカとその背後にいるイギリス、それら両国に従う諸国に反省を促し、わが国が耐えられる極限まで、譲り合いの精神で平和的解決を追求し、できる限りのことを尽くし、やるべきことは全てやりました。しかしアメリカは、とってつけたような原理原則をかざして東アジアの現実を直視せず、自己の生産力軍事力を過信して日本を侮り、同調する国々と結託して軍事的圧迫を強め、わが国を屈服できると驕りました。

(原文)かくて平和的手段により、米国ならびにその余国に対する関係を調整し、相携へて太平洋の平和を維持せむとする希望と方途とは全く失はれ、東亜の安定と帝国の存立とは、方に危殆に瀕せり、事茲に至る、遂に米国及び英国に対し宣戦の大詔は渙発せられたり。聖旨を奉体して洵に恐懼感激に堪へず、我等臣民一億鉄石の団結を以て蹶起勇躍し、国家の総力を挙げて征戦の事に従ひ、以て東亜の禍根を永久に排除し、聖旨に応へ奉るべきの秋なり。

(訳文)かくして、平和的にアメリカやその連合国との関係を修復し、共に協力して太平洋の平和を保とうという希望と方策は無くなり、東アジアの安定とわが国の自存は、まさに危機に瀕しています。ことはここに至りました。ついにアメリカとイギリスに対して天皇陛下の名の下に宣戦は布告せしめられたのです。われわれは天皇陛下の思し召しを賜り感極まっております。ここは日本国民一丸となって奮起し、国家の総力を挙げて外敵を撃ち払い、それによって東アジアの平和を脅かす原因を永遠に取り除き、天皇陛下の大御心にお応えすべき時がやってきたのです。

(原文)惟ふに世界万邦をして各々その處を得しむるの大詔は、炳として日星の如し。帝国が日満華三国の提携に依り、共栄の実を挙げ、進んで東亜興隆の基礎を築かむとするの方針は、固より渝る所なく、又帝国と志向を同じうする独伊両国と盟約して、世界平和の基調を糾し、新秩序の建設に邁進するの決意は、愈々牢固たるものあり。

(訳文)改めて考えるに、「全世界において、それぞれ国柄が尊重されるべき」という天皇陛下のお言葉は、燦然と輝く真理と断言できます。わが国が満州帝国や中華民国と手を携え、共に経済発展を遂げ、積極的に東アジア発展に尽くそうという方針は微動だにせず、わが国と共通の目標を抱くドイツやイタリアとも同盟を結び、真の世界平和と新しい秩序を築こうという決意は、ますます固くなりました。

(原文)而して、今次帝国が南方諸地域に対し、新たに行動を起こすのやむを得ざるに至る。何等その住民に対し敵意を有するものにあらず、只米英の暴政を排除して東亜を明朗本然の姿に復し、相携へて共栄の楽を分たんと祈念するに外ならず、帝国は之等住民が、我が真意を諒解し、帝国と共に、東亜の新天地に新たなる発足を期すべきを信じて疑わざるものなり。

(訳文)そしてついに、この度わが国が南方各地において新たな行動を起こさざるを得なくなりました。それらの地域住民に対して何ら害意はありません。ただ、アメリカやイギリスの圧政を排除し、東アジアを本来あるべき姿に戻したいだけなのです。わが国は、これらの地域の人々が、わが国の真意を理解し、共に東アジアの理想を実現することに協力してくれるであろうことを信じて疑いません。

(原文)今や皇国の隆替、東亜の興廃は此の一挙に懸かれり。全国民は今次征戦の淵源と使命とに深く思を致し、苟も驕ることなく、又怠る事なく、克く竭し、克く耐へ、以て我等祖先の遺風を顕彰し、難儀に逢ふや必ず国家興隆の基を啓きし我等祖先の赫々たる史積を仰ぎ、雄渾深遠なる皇謨の翼賛に萬遺憾なきを誓ひ、進んで征戦の目的を完遂し、以て聖慮を永遠に安んじ奉らむことを期せざるべからず。

(訳文)いまや、わが国の存亡と、東アジアの運命はこの戦争にかかっています。すべての日本国民はこの戦争の原因と目的について深く理解し、少しも傲慢になることなく、怠けることもなく、努力し、苦難に耐え、それによって先祖に恥じることのない戦いぶりを示さねばなりません。私たちの祖先はどんな苦難に遭っても、それを撥ね退けて、日本国家を栄えさせてきたものです。力強く、遠大な、天皇陛下の示される道を信じ、積極果敢に戦いに打ち勝ち、末長く天皇陛下にご安心いただけるよう努めなければなりません。

以上の「帝国政府声明文」をもって「戦争目的を達成したのは日本」という説を唱えたのは、北海道に在住する科学者、安濃豊氏であった。確かに、第二次世界大戦終結後、東アジアだけでなく中東やアフリカ諸国も独立を果たした。これを持って「日本は戦勝国だった」と言ってしまうのは強弁の誹りを免れない。安濃豊氏の説が通説になることは今後もないだろうが、戦勝国であるはずの米英がその戦争目的を達したのかは疑ってみて良いかもしれない。

アメリカ人弁護士のケント・ギルバート氏は次のように述べている。

「日本人は『白人は優秀で有色人種は劣っている』という当時の常識は間違いだと身を持って証明したうえで、植民地を解放して独立させ、アジア人が共存共栄できる世界を目指すという『大義』を掲げた戦争を始めた。それが『大東亜戦争』である。」zakzakより

もっとも、「帝国政府声明文」を起草した政府当局者が、どこまで本気で「植民地解放」を目指していたのかは怪しい。当時は陸海軍でも国防方針は分裂していたし、軍と政府でも統一されてはいなかった。日本国民の多くは戦争の大義を信じていたが、政府はバラバラで、せっかくの政府声明も実効性を持っていなかったのが実態だ。声明文じたい、「開戦の詔勅」を補完する以上の意味はなかったとされる。

少なくとも、第二次世界大戦で日本は無謀な戦いを挑み、惨めに敗れ去ったという歴史観は一面の見方に過ぎない。あるいは東京裁判で断罪されたように、日本がアジア侵略を計画して一方的に戦争を引き起こしたという評価は真実の真逆であると言わざるを得ない。むしろ受け身で後手に回ることも多く、戦争目的もブレまくっていた。

わが国は大東亜戦争に敗れたことで、満州や朝鮮、台湾、太平洋諸島の委任統治領も全て失った。何より、精強なる帝国陸海軍を失い、世界の一流国から三流国に転落し、未だに歴史戦で負け続けている。ポツダム宣言受け入れと引き換えにしたはずの「国体護持」(皇室を中心とする日本の国柄)も骨抜きにされている。結果的に多くの植民地が独立できたことが唯一の救いだ。

その意味では、わが国が「帝国政府声明文」に書かれた戦争目的を全て達成したとは言い難い。この声明文をもって、日本を敗亡に陥れた当時の政府当局者を免罪することはできないだろう。今後、わが国が占領体制の桎梏から抜け出し、世界の一流国に返り咲いた時こそ、「実は日本は負けていなかった」と晴れて宣言できるのかも知れない。

(本山貴春)

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