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タイムマシンで過去を変えれば人は幸せになれるか?アニメのメッセージとは

アニメは単なる娯楽に非ず。アニメ、漫画は、もちろん娯楽の一種ではあるが、そこには作者が込めたメッセージがある。

当たり前だが、作者はわざわざそのようなことを教えてはくれない。しかし、作品を見て、そのメッセージを感じ取り、自分なりに解釈をすることもアニメの楽しみの一つである。

今回、筆者が感じ入った作品を紹介したい。『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)という2011年公開のアニメだ。

舞台は2010年の秋葉原。厨二病から抜け出せない大学生である岡部倫太郎は、「未来ガジェット研究所」を立ち上げ用途不明の発明品を日々生み出していた。だが、ある日、偶然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」を作り出す。世紀の発明と興奮を抑えきれずに、興味本位で過去への干渉を繰り返す。その結果、世界を巻き込む大きな悲劇が、岡部たちに訪れることになるのだが…悲劇を回避するために岡部の孤独な戦いが始まる。果たして彼は、運命を乗り越えることはできるのか!?

(アニメ公式HPより抜粋)

この作品では、タイムマシン開発をした世界を舞台に物語が展開する。

時間旅行ができる装置であるタイムマシンが出てくる作品は、漫画では「ドラえもん」、映画では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などがある。

これらの作品で使われる展開は、「望ましくない過去を改変して、理想の未来(現在)を実現する」というものだ。

22世紀に生きるセワシ君の一族は、150年前に高祖父のび太君が事業で失敗して負った借金を返せずにいた。そこでセワシ君は、子守ロボットを20世紀に生きる高祖父のび太君に送ることで、一族の運命転換を図る

(ドラえもん)

セワシ君のように、過去を変えたいという願望を誰しも一度は持ったことがあるのではないだろうか。「あそこで別の選択をしていれば…」ということは考えるし、人間はそれを創作物のなかでかなえてきた。

しかし、「STEINS;GATE」は従来の作品とは違い、一風変わったストーリーが展開される。タイムマシンで過去を何度変えても、理想の未来が訪れないのだ。

本作品の主人公、岡部倫太郎は仲間とともにタイムマシンを開発し、過去改変を行う。その結果、一見、自分に訪れる悲劇を回避して、幸せな未来が待ち受けているように見えたが、別の悲劇が待ち受けている。

「STEINS:GATE」の世界では、時間の流れは縄のようなものと表現される。縄は多くの糸で出来ている。糸の一つ一つは独立していても、先端は同じ場所に続いている。同じように過去改変した世界も、別世界のように見えるが、大きな枠では同じ未来に向かっているのである。

さらに、一度改変した過去を修復していくことで、破滅的な未来を回避するストーリー展開がなされる。

主人公の岡部は、過去改変の時に仲間の過去も変えている。仲間はそれぞれ幸せな現在を掴んだのだが、後に起こる悲劇を食い止めるために、仲間にあったかもしれない幸せを諦めてもらい、岡部は全てを元に戻していく。

仲間の想いを背負い、様々な悲しみを一人背負いながら岡部は進んでゆく。過去改編の結果、起こってしまった、愛する人の破滅の運命を覆し、日常に戻るために。

岡部は作品の中で次のように言う。

全ての犠牲の責を負い、それでも繰り返さないといけない苦しみ!その中で消耗し、心は壊れ、人としての感情がなくなっていく恐ろしさ!!例え方法があっても過去を改変してはいけないんだ。あったかもしれない可能性を現実にしてはいけないんだ!未来は誰にもわからないもので、やり直しがきかないからこそ、あらゆる不幸も、苦しみも、理不尽な事故も、人は受け入れ、前に進むことが出来るんだ!

ひょっとしたら、タイムマシンという発明は人を幸せにしないのかも知れない。そして、岡部が言うように、やり直しがきかないと割り切ることが出来るからこそ、人は前に進めるのかも知れない。

作品の終盤では、名言と呼ぶべき言葉が出てくる。これらの言葉は、過去と現在の自分を一貫したものだと考え、過去を嘆かない。

一見意味のないこと、無駄と思えることこそ、より大きなことを成し遂げるための礎石足り得るのだ!

未来は保証されていないけれど。明日、俺が死ぬかもしれないけれど。生きることは本来、やり直しなんてきかないことだから

全てに意味があった。無駄なんて、一つもなかった。俺はもう恐れない。恐れてはいけない。犠牲にしてきたたくさんの想いに報いるためにも。この瞬間に立つことができた俺に、誇りと自信を持つ

例え失敗ばかりだったとしても、それを含めて今の自分があるんだから

一つ一つの言葉が、時間とは何なのか。自分がたどってきた過去とは何だったのかと言うことを考えさせられる言葉だ。

過去は変えられない。もしそれが出来ても変えてはならない。間違った選択であったと今思っていても、それは、今の自分を構成する礎石なのだ。

私は大学生活最後の年に本作品を観た。これまで、様々な運命の岐路とも言える選択をしてきた。もちろん、「あの時ああしていれば」という選択は何度もあった。しかし、変えられない過去を嘆くのではなく、受け止め方を変え、少しでも未来を善くするために、今を生きていこうと思える。そのような作品だ。

今回は、『STEINS;GATE』というアニメを題材に、アニメに込められたメッセージを読み解くという試みをしてみた。

今回提示したのは、一つの見方だ。作品の受け止め方は、人によって変わってくる。しかし必ず、作者が込めたメッセージがある。ただ楽しむのではなく、作者のメッセージを感じ取るという楽しみ方を是非してみてほしい。

この記事では「タイムマシンで過去を変えれば人は幸せになるのか?」という文脈で作品を吟味していったが、そのようなメッセージ性を抜きにしても、本作品の主人公「岡部倫太郎」の生き様はかっこいい。

愛する人のために、平和な日常に戻すため、自分の使命を果たし、全てを背負い、狂気とも言える世界を生きていく。

ストーリー展開、伏線のはり方、その回収のテンポや方法など、熱中すること間違いなしの名作だ。前半は、殆どが伏線やキャラを立てるためのエピソードで、見ていて間延びするかもしれない。しかし、12話以降は続きが気になって仕事が手につかなくなる人もいたと聞く。(全24話)

本作品は、いま続編の制作も進んでいる。是非、多くの方にこの作品を観ていただきたい。

アニメは、子供や若者のコンテンツというイメージがあるかも知れない。しかし、もはやアニメはサブカルチャーではなく、作者が込めたメッセージを大人が楽しめるカルチャーになったのだ。

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齋藤元孝(さいとう・もとたか)/平成6年生まれ。北九州市立大学法学部政策科学科在籍。2009年、当時中学3年生の時に迎えた政権交代に衝撃を受け、政治に興味を持ち始める。知行合一をモットーに、現場に入って学ぶことを重視する。現在、救う会などの社会運動にも参加している。

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