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感動記録映画『まなぶ』ーひたむきに生きた先人に学ぶべきこと

70歳を超えて、通信制中学に学ぶ人々がいる。記録映画『まなぶ 通信制中学 60年の空白を越えて』は、そんな高齢者たちを足掛け5年もかけて追ったドミュメンタリー映像作品である。

昭和20年、わが国は大東亜戦争に敗れ、多くの国民は夫や父を戦死させたり、空襲などによって家屋や財産を失ったりした。そのような戦後の「混乱期」において、貧窮などにより、義務教育である中学校に進学できない人々がいた。

ある人は、小学校卒業と同時に工場へ「奉公」に出され、ある人は、10歳にもならないうちに農家へコメと引き換えに「奉公」に出され、またある人は「奉公」先で子守や家事をこなしながら夜間中学へ通うも、仕事が忙しすぎて中退に追い込まれる。

最近では聞くこともない「奉公」。住み込みで仕事を覚えるということだが、要するに子供を養えないがゆえの「口減らし」であり、コメと引き換えにともなれば人身売買に近いとも言える。

それほど、敗戦直後のわが国は苦しかったのだ。このような状況は決して一部の人々の話ではない。華族と呼ばれた人々も収入を失ったし、裁判官が闇市の食糧を拒否して餓死した。そんな時代だった。

つまり、戦後の混乱期にあって義務教育すら受けられず、身売り同然に奉公に出された人々もまた、戦争の犠牲者だったのだ。戦争が終わって平和を迎えた日本人は、また新たな困難に直面していた。

この映画に登場する70代の「中学生」たちは、同年代の人々と同じように中学校で学べなかったことに悔しさと負い目を抱えながら、戦後社会を生きてきた。

登場人物の一人は、「学校で学んだ人たちと自分とでは、何か根本的に考え方や発想が違うと感じていた」とも語っている。

現代、貧困によって中学校にすら通えない、といったケースは極めて稀だ。私たちは義務教育が当たり前となって、教育を受けられることの貴重さ、ありがたさを忘れているのではないだろうか。

中学校にすら通えず、10代前半から社会に出て働き続けた人々が、やがて日本の高度経済成長を支え、世界有数の豊かな国を作った。そして老境を迎え、積年の想いを晴らすように、中学校で必死に学んでいる。

その姿はあまりにも切なく、健気ですらある。3年間の通信教育を終えると、きちんと卒業式が挙行され、全員に卒業証書が手渡される。ある男性は、証書を受け取る瞬間に、思わず泣き出しそうな、感極まった表情を見せる。

そこにあるのは、学ぶことの喜びと、学ぶことの大切さを、身をもって示してくれる先人の姿だ。ある女性は、途中で鬱病を再発し、肺癌を患い、半身不随の夫を介護しながら、6年もかけて通信制中学を卒業し、さらに通信制高校に進学する。

方程式や、漢文や、顕微鏡で見る葉の細胞や、歴史上の人物の事績が、どれほど社会生活の役に立つのかと思いながら学校生活を送った人は多い。

しかしそれを学ばずに社会に出て、やっと学べて、「社会を見る目が変わった」「やっと世の中のことが理解できた」と彼らは言う。この映画は、ぜひ子供達に、あるいはその親たちに見て欲しいと思う。

これは観る者の心を打ち、人生観を変える、真実の映像作品である。

11月1日(水)福岡市で『まなぶ』上映会開催

記録映画『まなぶ 通信制中学 60年の空白を越えて』
(監督 太田直子 / 制作 グループ現代)
日時 平成29年11月1日(水)14:30-16:30(14時開場)
場所 福岡市立中央市民センター ホール
料金 当日1000円(前売800円) 大学生以下無料
主催 『まなぶ』福岡上映委員会
問い合わせ先 近藤泰洋 070-5415-6852

※当日は映画上映の他、福岡大学人文学部准教授 添田祥文氏による講演あり

▽『まなぶ 通信制中学 60年の空白を越えて』公式サイト
http://film-manabu.com/

本山貴春(もとやま・たかはる)独立社PR,LLC代表。北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会副代表。福岡市議選で日本初のネット選挙を敢行して話題になる。大手CATV、NPO、ITベンチャーなどを経て起業。

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